この記事の要点
会社員のうちにやっておきたいのは、情報を集めることで終わらせず「実際に自社サービスを売ろうとしてみる」ところまで進めることです。平日週5日は従業員として働き、土日の2日だけで売れるかを試す。その2日で今の月収の半分以上が見えるかを一つの目安にしつつ、準備が完璧になるのを待たずに動く。これが、独立後にお金が想像以上に減る実感を先に織り込む方法です。
公開日 2026-10-10 執筆:原本 昌悟(ノルツ株式会社 代表取締役)
脱サラの準備として、会社員のうちにやっておくことは何ですか?
会社員のうちにやっておくことは、マーケットリサーチと、実際に自社サービスを売ろうとしてみることの二つです。ノルツ株式会社代表・原本は、独立前にこの二つをやっておくべきだったと振り返っています。調べるだけで止めず、値段をつけて相手に提示するところまで進めるのが要点です。
代表・原本が独立前の準備として挙げているのは、市場を調べることと、実際に売ってみることの二つです。調べる側だけを増やしても、相手が買うかどうかの答えは返ってきません。値段をつけて提示したときに初めて、検討されるのか、保留になるのか、その場で決まるのかという反応が返ってきます。
会社員のうちに確かめておきたいことは、次のように整理できます。
- 誰に売るのか(想定ではなく、実際に声をかけられる相手の顔が浮かぶか)
- いくらで売るのか(金額を口に出して提示できる状態まで決める)
- 提示したときに相手が何と言うか(断られた理由も含めて記録する)
- 一件を届けるのに自分がどれだけ時間を使うか(土日の稼働で測れる)
この四つは、勤め先の給与がある状態でも試せます。給与という土台がある間に試行回数を稼げるのが、会社員のうちに動く一番の利点です。
なぜリサーチだけでなく「テスト販売」まで会社員のうちにやるのですか?
リサーチは「売れそう」までしか分かりませんが、テスト販売は「売れた・売れなかった」という事実が残ります。代表・原本が勧めているのは、自社サービスを実際に売ろうとしてみることです。独立後に確かめるとお金が減りながらの検証になるため、在職中に前倒しする価値があります。
調査と販売は、返ってくる情報の種類が違います。調査で分かるのは「需要がありそうかどうか」で、販売で分かるのは「この値段で、この相手が、実際にどう動いたか」です。独立の判断に必要なのは後者の方です。
| 確かめたいこと | 会社員のうちに確かめられるか | 独立後に確かめる場合 |
|---|---|---|
| その価格で反応があるか | 提示すれば確かめられる | 同じことを、収入が減った状態で行う |
| 断られる理由は何か | 断られても給与の土台が残る | 断られた数がそのまま資金に響く |
| 一件あたりの自分の稼働時間 | 土日の作業時間として測れる | 全時間が事業に流れるため測りにくい |
| 売上が生活費を超えるか | 週2日分の売上から見当をつける | 実額で分かるが、やり直す余裕は減る |
つまり、同じ検証を「給与がある状態」でやるか「給与がない状態」でやるかの違いです。順番を入れ替えるだけで、独立後に残せる現金と気持ちの余裕が変わります。
独立直後のお金の感覚は、実際どうでしたか?
代表・原本は、独立した時に自分の想像以上にお金が減っていくのを実際に体感したと語っています。独立してすぐは売上が立たないことが多く、生活できる売上が立つまで6ヶ月は見てくださいと言われることもあります。ただしその期間は、事業設計の出来によって変わるという見方です。
「独立した時に、何というか、自分でも自分の想像以上にお金が減っていくっていうのを、実際に体感いたしました。」(ノルツ株式会社代表・原本)
独立の相談でよく出てくる目安として、「生活していけるような売上が立つまで6ヶ月は見てください」という言い方があります。代表・原本はこの言説を紹介しつつ、その期間は事業設計の出来によって変わるという見解を示しています。6ヶ月という数字を絶対の前提にするのではなく、自分の事業がどれくらいで売上に届く形になっているかを先に見る、という順番です。
ここで効くのが、会社員のうちのテスト販売です。在職中に一件でも売れていれば、独立後の「売上ゼロからの立ち上げ」ではなく「既にある反応の続き」から始められます。手元のお金がどう動くかを数字で置いておきたい場合は、経費から組み立てる資金繰り表の作り方を別の記事にまとめています(独立の資金はいくら必要?資金繰り表は経費から組み立てる)。
平日週5日働きながら、独立前のテスト販売はどう進めますか?
平日週5日は従業員として働き、土日だけの2日を事業の稼働に充てる形で進められます。売るものと値段を一つに決め、声をかける相手を書き出し、提示と振り返りを週単位で回します。始める前に、勤め先の就業規則で副業の扱いを確認しておくのが前提です。
代表・原本は、平日週5日間従業員をやっていて、土日だけ休みがあるという会社員の働き方を前提に、週7日のうち2日だけ活動して事業を試す形を例として挙げています。その2日を次の順番で使うと、検証が週単位で回ります。
- 勤め先の就業規則で副業・兼業の扱いを確認する(判断に迷う場合は社内規程と公式情報を確認する)
- 売るサービスを一つに絞り、提示する金額を決める
- 声をかけられる相手を書き出す(知人、過去の取引先、同業者など実在の相手に限る)
- 土曜に提案し、日曜に反応を記録して言い方や価格の出し方を直す
- 月末に、その月の売上と、自分が使った稼働時間を並べて見る
記録するのは売れた件数だけではありません。断られた理由、価格を伝えたときの間、こちらが準備に使った時間も一緒に残します。これが独立後の値付けと稼働計画の材料になります。
副業・兼業の扱いは勤務先の規程や制度の運用で変わります。2026年9月時点の情報として整理していますので、判断する前に勤め先の規程と公的機関の最新情報を確認してください。
「準備が出来上がったら独立」という考え方はどう扱えばいいですか?
代表・原本は、準備が出来上がったら独立しようという考え方は逆に危険だと語っています。起業の準備はそもそも終わらないという前提があるためです。最低限動ける準備をして実際に動き、マーケットの当たりを見て決断する形を一つの方法として挙げています。
「一番やっちゃいけないなと思うのは、準備が出来上がったら独立しようっていう考え方も、逆にこれは危険だなという風に思っております。」(代表・原本)
「起業の準備ってそもそも終わらないというのが前提にありますので、最低限動ける準備をして実際に動いてみて、マーケットの当たりを見ていけると思ったら、そこで決断して独立してしまうのも1個の方法かなという風には思います。」(代表・原本)
この考え方に沿うと、準備は「完成させるもの」ではなく「動ける最低限を揃えるもの」になります。会社員のうちのテスト販売は、その最低限を揃えながらマーケットの当たりを見る作業そのものです。資料や計画を仕上げる前に、売る相手に当てて反応を見る。順番をそう置くと、準備が終わらないことは止まる理由になりません。
準備の中身を項目として並べて確認したい場合は、スキルの棚卸しや事業計画の要素から入る方法もあります(起業・独立前のスキル棚卸し、事業計画書の書き方:8つの要素)。
独立を決める判断基準に、どんな数字を置けますか?
代表・原本は、週7日のうち2日だけ活動して今の月収の半分以上稼げたら独立しよう、という基準を理想論の一例として挙げています。在職中の稼働日数と売上をセットで見るのが考え方の軸です。数字は目安として置き、実際の反応と合わせて判断します。
この基準の要点は、売上の金額だけを見ないところにあります。見るのは「どれだけの稼働で、いくらになったか」です。土日の2日という限られた稼働で今の月収の半分以上に届くなら、稼働日が増える独立後に伸びる余地をどう見るか、という議論に進めます。
- 稼働日数:平日週5日は従業員、土日の2日が事業の稼働
- 売上の目安:その2日で今の月収の半分以上(理想論の一例として語られた水準)
- 合わせて見る情報:断られた理由、提案から受注までの流れ、一件にかかった時間
ただし独立後の時間の使い方は会社員時代と同じではありません。代表・原本は「起業した後ってそれこそ休みなんてなくなりますので」と語っています。休みがなくなる前提で、2日分の数字をそのまま何倍かして当てにするのではなく、反応の質と合わせて判断する。数字は目安として置くのが現実的です。
独立そのものを迷っている段階であれば、判断の軸を先に整理する方法もあります(脱サラで独立を迷うときの4つの軸)。
計画の精度と勢い・情熱は、どうバランスを取りますか?
代表・原本は、勢いで独立すると準備不足で後悔する部分はあるかもしれないが、一定量の勢いや熱意、情熱もやはり必要だと語っています。すべてがロジカルには進まないという前提を持ちながら、動ける最低限の準備を会社員のうちに済ませる形が落ち着きどころです。
「勢いで独立してしまうとね、準備不足だったりで後悔するっていう部分はあるかもしれないんですけれども、一定量の勢い、その熱意、情熱、そういったものもやっぱり必要だなという風に思います」(代表・原本)
「すべてがロジカルには進まないという風に思っておいていただければと思っております。」(代表・原本)
この二つを両立させる置き方は、役割を分けることです。計画は「動ける最低限を揃えるため」に使い、勢いは「実際に売りに行くため」に使う。会社員のうちに売ってみる行動は、両方を同時に前に進めます。
次にやること
- 売るサービスを一つに絞り、金額を決める
- 土日のどちらかで、実在の相手に提示する
- 反応を記録し、月末に売上と稼働時間を並べて見る
ノルツの起業支援では、月額顧問型で毎月伴走しながら、この検証の設計と振り返りを一緒に進めています。会社員のうちに何から試すかを決めたい段階でしたら、LINEかお問い合わせフォームからご相談ください。
よくある質問
会社員のうちにテスト販売をしても大丈夫ですか?
勤め先の就業規則で副業・兼業の扱いがどうなっているかを先に確認してください。規程や制度の運用は変わるため、2026年9月時点の情報として整理しています。判断の前に社内規程と公的機関の最新情報を確認するのが安全です。
テスト販売で売れなかったら、独立はやめるべきですか?
売れなかったこと自体が材料になります。断られた理由、提示した相手、価格の伝え方を記録し、変えて試すところまでが検証です。会社員のうちは給与という土台がある状態で試行回数を重ねられるのが利点です。
独立前の準備はどこまでやれば十分ですか?
ノルツ株式会社代表・原本は、起業の準備はそもそも終わらないという前提を置き、最低限動ける準備をして実際に動いてみて、マーケットの当たりを見ていけると思ったら決断するのも一つの方法だと語っています。完成を待つ考え方は危険だという見方です。
独立後、売上が立つまでどれくらい見ておけばいいですか?
「生活していけるような売上が立つまで6ヶ月は見てください」と言われることがあります。代表・原本はこの言説を紹介しつつ、期間は事業設計の出来によって変わるという見解を示しています。自分の事業の設計と手元資金を合わせて考えるのが現実的です。
参考・出典
- 厚生労働省(副業・兼業に関する情報)(2026年9月時点)
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