一人起業の孤独を抜けた方法

「客」ではなく「仲間」ができたとき、世界が変わった

この記事は、ノルツ株式会社代表・原本が、自身の一人起業の経験をもとに書いています。クライアントはいるのに孤独——その感覚に、心当たりのある方へ。

この記事の要点

一人起業の孤独の正体は、人間関係のすべてが「取引」で、共感でつながる仲間がいないことにあります。筆者(ノルツ代表・原本)は「挑戦する人をサポートしたい」という志を言葉にし、交流会で語り続けたことで、クライアントではない「仲間」ができ、孤独を抜け出せました。孤独の出口は人脈の数ではなく、関係の質です。

一人で起業すると、思っていた以上に孤独です。仕事はある、お客様もいる。それなのに、ふとした瞬間にどうしようもない一人ぼっち感に襲われる——。私自身、まさにそうでした。独立してからしばらく、私はこの孤独の正体がわからないまま過ごしていました。今ふり返ると、原因ははっきりしています。私には「クライアント」はいても、「仲間」がいなかったのです。この記事では、私がその孤独をどう抜け出したのか、実体験を正直にお伝えします。

窓辺で街を眺めながら一人考え込む日本人ビジネスパーソンの後ろ姿

「ただの技術者」として始まった独立

私が独立したときの自分の位置づけは、「ウェブ制作者=ただの技術者」でした。業務委託でWeb制作を請け負い、頼まれたものを作って納める。それ自体は仕事として成立していましたが、そこに志も何もありませんでした。「自分は何のためにこの仕事をしているのか」という問いは、忙しさの中で後回しにされ続けていました。

独立して半年ほどで、世の中はコロナ禍に入りました。営業に出て、いろいろな人と話す機会が増えた時期です。その中で、あるとき、はっと気づく瞬間がありました。「独立してもう4年近く経つのに、自分は何も変わっていない」。同じように制作を請け、同じように納め、同じように一人で過ごしている。前に進んでいる手応えがないまま、時間だけが過ぎていたのです。

なぜ「客はいるのに孤独」なのか

当時の私の人間関係は、ほぼすべて「取引」でできていました。お金を払う人と、サービスを提供する人。その関係は健全ですが、どこまでいっても役割の関係です。困ったときに本音で相談できる相手、同じ方向を向いて一緒に喜べる相手——そういう存在は、取引の中からは生まれにくい。クライアントが何人いても孤独だったのは、関係のすべてが「取引」で、「共感」でつながった相手がいなかったからでした。

一人起業の孤独は、仕事量の問題ではありません。関係の質の問題です。だからこそ、いくら案件を増やしても、孤独はむしろ深まっていきました。

コロナ禍の営業が、立ち止まる時間をくれた

皮肉な話ですが、私が自分の孤独に気づけたのは、コロナ禍という外的なきっかけがあったからでした。独立から半年ほどでコロナ禍に入り、それまでとは違う形で営業に出たり、人と話したりする中で、自分の現在地を意識せざるを得なくなったのです。日々の制作に追われているときは、立ち止まって考える余裕などありませんでした。手を動かしていれば、とりあえず一日は過ぎていく。その積み重ねで4年近くが経っていたわけです。

環境が変わって、いつものリズムが崩れたことで、ようやく「自分は何をやっているんだろう」と問う隙間ができました。もし何事もなく忙しさが続いていたら、私はもっと長く、孤独に気づかないまま走り続けていたかもしれません。だからこそ今は、意識的に立ち止まる時間を持つことの大切さを、強く感じています。きっかけは何でも構いません。大事なのは、走る手を一度止めて、自分に問いを向けることです。

一人起業の孤独を抜け出す転機は何だったのか?

「4年経っても変わっていない」と気づいたあと、私は立ち止まって、自分に問い直しました。「自分は本当は何がやりたいのか」。出てきた答えは、意外なほどシンプルでした。「挑戦する人を“サポート”したい」。自分が主役になるのではなく、あくまで支援する側に立ちたい——そういう自分の輪郭が、ようやく言葉になりました。

そこから私は、創業支援・起業支援として「挑戦する起業家をサポートする」ことをミッションに据えました。今の言葉でいえば「志す人に、道を通す」。この志を掲げてから、私の振る舞いは一つ変わりました。出会う人に、その志を語るようになったのです。

交流会で歓談し志を語り合う複数の日本人起業家

志を語ると、なぜ「仲間」ができるのか?

志を語ると、共感でつながる人が現れるからです。私は、起業家向けの交流会を主催するようになりました。そして、来てくれる人に自分の志を語り続けました。すると、それまでとは違うことが起き始めました。話を聞いて共感してくれる人が現れ、その人たちは「クライアント」ではないのに、私の「仲間」になっていったのです。

「クライアントはいました。ただ、仲間はいなかった。志を持ったとき、クライアントじゃないけれど仲間ができた」——これは、私が自分の転機を説明するときにいつも使う言葉です。志を語ると、相手との関係が「取引」から「共感でつながる仲間」へと変わります。そして不思議なことに、その仲間はどんどん増えていきました。孤独だった世界が、まるで色を変えたように感じられた瞬間でした。

孤独の出口は「人数」ではなく「関係の質」

一人起業の孤独は、知り合いを増やせば消えるものではありません。鍵は、自分が何のためにやっているのかを言葉にし、それを語ること。共感でつながった相手は、取引相手とは違う支えになります。

仲間ができると、何が変わるのか

「仲間ができる」と聞くと、寂しさが紛れる、励まし合える、といった精神的な面を思い浮かべるかもしれません。もちろんそれもありますが、私が実感したのはそれだけではありませんでした。志に共感してつながった仲間は、自然と人を紹介してくれたり、一緒に何かを立ち上げる相手になってくれたりします。取引では生まれない種類の動きが、関係の中から生まれてくるのです。孤独が消えただけでなく、事業そのものの広がり方が変わっていきました。

そして何より、仕事への向き合い方が変わりました。「誰かに頼まれたから作る」だった日々が、「この志のためにやっている」に変わると、同じ作業でも意味が違って見えます。一人で抱えていたときの、あの行き先のない感覚は、いつのまにか薄れていました。孤独の出口は、案件を増やすことでも、無理に人脈を広げることでもなく、自分の中心に志を置くことだったのだと思います。

交流会で志を語るとき、何を意識すればいいのか?

とはいえ、いきなり初対面の人に志を語るのは気恥ずかしいものです。私も最初はうまくいきませんでした。意識したのは、立派に聞こえる言葉を作り込まないことです。「挑戦する人をサポートしたい」というシンプルな一言を、自分の体験とセットで、飾らずに話す。なぜそう思うようになったのか、どんな遠回りをしてきたのか——その背景まで含めて語ると、相手は共感してくれやすくなります。きれいなスローガンより、等身大の物語の方が、仲間を呼びます。

もう一つ意識したのは、見返りを期待しないことです。「仲間を作るために語る」と思うと、どこか打算的になって相手に伝わってしまいます。ただ自分の志を正直に話す。その積み重ねの結果として、気づけば仲間が増えていた——という順番でした。語ることそのものを、目的ではなく習慣にしてしまうのが、いちばん自然だったように思います。

志(ミッション)はいつ持つべきなのか?

この体験から、私が強く思うようになったことがあります。志(ミッション)は本来、起業した後ではなく、一番最初に持った方がいい、ということです。私は約4年かけて遠回りをして、ようやくそこにたどり着きました。もし最初から志を言葉にできていたら、あの孤独な数年間は、もっと違うものになっていたかもしれません。

とはいえ、「最初から志なんて持てなかった」という人を責めたいわけではありません。私自身がそうだったのですから。大切なのは、気づいたその時点で言葉にしてみることです。志の見つけ方そのものに迷っている方は、私が実際にやった手順を一人起業のミッションの作り方|過去の棚卸しで志を言語化する手順にまとめていますので、あわせて読んでみてください。過去をたどることで、自分の志は見えてきます。

今、孤独の中にいるあなたへ

もし今、案件はあるのに孤独だと感じているなら、それはあなたが弱いからではありません。関係のすべてが「取引」になっているだけかもしれません。まずは、自分が何のためにこの仕事をしているのかを、一行でいいので言葉にしてみてください。そして、それを誰かに話してみる。語ることは、仲間を呼び込む最初の一歩です。私の場合、それが世界を変えました。

「志を語る」最初の相手に、なります

志をいきなり交流会で語るのは勇気がいります。ノルツの起業支援では、その手前の「言葉にする」「語ってみる」を、伴走しながら一緒に進めます。一人で抱えている孤独を、まずは話すことから始めませんか。気軽にご相談ください。

関連記事

交流会が「意味ない」と感じる本当の原因|無差別な売り込みをやめる
日本の社長はほとんど「一人社長」|大半が中小・フリーランスという現実とターゲット設計
一人起業のミッションの作り方|過去の棚卸しで「志」を言語化する手順
大企業で優秀だった人が、独立後につまずく理由と対策
収入は「付き合う人の平均」になる|意識を変えるだけで人間関係の層が変わる
経済の流れの中で、一人社長はどこにいるか|国→大手→中小→個人の位置を俯瞰する
起業初期に仲間を集める方法|交流会で「志」を語り続けた話
独立4年「何も変わらなかった」僕が抜け出せた一つの問い

LINEで無料相談する ご利用の流れを見る

← コラム一覧へ戻る