この記事の要点
経済は「国 → 大手企業 → 中小企業 → 個人」の順に上から流れており、一人社長・フリーランスはその流れのいちばん下流に位置します。下流は弱さではなく、上流で動くお金と仕事の行き先に最も近い場所です。「どう売るか」だけに視点を閉じず、どの上流につながるかを選ぶために、たまには分不相応な場に出て視座を引き上げることが有効です。
一人で事業をやっていると、頭の中はいつも「どう売るか」でいっぱいになります。目の前の商品やサービスを、どうやって買ってもらうか。それ自体は大事なことですが、そればかり考えていると、視点がどんどん狭くなっていきます。私自身がそうでした。その狭くなった視点を一度ぐっと引き上げてくれたのが、ある「分不相応な場所」に行ってしまった経験です。これは、環境を変えると見える景色(視座)が変わる、という話です。
間違えて「国際会議」に参加してしまった話
きっかけは、ちょっとした勘違いでした。「商工会議所のイベントだから、まあ気楽に行けるだろう」と軽い気持ちで申し込んだのですが、実際に行ってみると、それは商工会議所ではなく日本商工会の、しかもスペインと日本の国際会議だったのです。完全に別物でした。
会場に着いて、まず面食らいました。参加者の半分以上が外国人で、入り口では翻訳機を渡され、リアルタイム翻訳で聴講するスタイル。登壇するのは名だたる大手企業が次々と。そして私はというと、Tシャツにジャケットという軽装で来てしまっていて、周りはほとんどがスーツ。完全に「場違い」でした。正直、居心地は良くありません。でも、その分不相応な場所だったからこそ、見えたものがありました。
経済の上流では、何が動いているのか?
その場で痛感したのは、「世の中の上流では、こういうレベルのものが動いているのか」という事実です。普段、私が参加する1000円や2000円の交流会とは、話している内容のスケールがまるで違う。国と国がどう連携するか、という話が当たり前に交わされている。自分が普段見ていた世界は、経済全体のほんの一部分でしかなかったのだと、肌で感じました。
不思議なもので、その場で何か具体的な成果を得たわけではないのに、帰り道の頭の中は妙にすっきりしていました。自分が今どこで戦っているのか、その上にはどんな世界が広がっているのか——普段は意識すらしない「全体の中での自分の位置」が、ぼんやりとでも見えたからだと思います。居心地の悪さと引き換えに手に入れたのは、契約ではなく、この感覚でした。狭い視点に閉じこもっていたことに気づけただけでも、行った価値は十分にありました。
普段の場所と、分不相応な場所
普段:1000円〜2000円の交流会。話題は目の前の集客や売上。
分不相応な場所:大手が登壇する国際会議。話題は国と国の連携、国全体のビジョン。
同じ「ビジネスの場」でも、扱っているスケールがまったく違う。
経済の流れはどうなっているのか?国→大手→中小→個人
その会議で体感したのは、経済には「上から順番の流れ」がある、ということでした。私なりに整理すると、こういう流れです。まず、国ごとに強みが違う。だから国と国が連携の話をする。そこから国全体のビジョンや方針が掲げられ、それに沿って予算が出る。その予算を使って、大手企業が街づくりのような大きな仕事を動かす。さらに、その大手の仕事を中堅・中小企業が支援する。そして——フリーランスや一人社長は、その中小企業をサポートする位置にいる。
つまり、国 → 大手 → 中小 → 個人、という流れの中で、私たち一人社長は「いちばん下流」にいるわけです。これは卑下する話ではありません。むしろ、自分がこの大きな流れのどこにつながっているのかが分かると、目の前の仕事の意味が立体的に見えてきます。誰の、どんな動きの先に、自分の仕事があるのか。それが見えると、次に何を狙えばいいかも考えやすくなります。
「どう売るか」だけに視点が閉じないためには、どうするか?
目の前のものを売ろうとしているとき、視点は「どう売るか」だけにギュッと狭まります。それは必要なことですが、そこに閉じてしまうと、流れの上流で何が起きているのかが見えなくなります。上流で予算が動き、大手が動き、その下に仕事が降りてくる——その構造を知っていれば、「今どこにお金と仕事が生まれようとしているか」を意識して動けます。販売のテクニックを磨くのとはまた別の、立ち位置を選ぶという発想です。
正直に言えば、私はこの会議で具体的な商談をまとめたわけではありません。得たのは契約ではなく、視座です。けれど創業期において、自分が経済全体のどこにいるのかを一度俯瞰できたことは、その後の判断にじわじわ効いています。目の前の一件に必死になりつつも、頭のどこかで全体の流れを見ている。その二つの視点を行き来できると、近視眼に陥らずに済みます。
なぜ、たまには不釣り合いな場所に行くべきなのか?
この体験から私が得た教訓は、「たまには自分に不釣り合いな、すごく良い場所に行ってみる」ことの価値です。いつも同じ交流会にしか行かないと、周りにいるのも同じような人ばかりになり、環境が固定されます。環境が固定されれば、見える景色も、考えることも固定される。だから、普段1000円や2000円の交流会に出ているなら、たまには思い切って3万円や5万円する場に行ってみる。展示会やセミナーでもいい。
場違いで居心地が悪くて構いません。むしろ、その居心地の悪さこそが、自分の視座が一段引き上げられているサインです。環境を変えると、見える景色が変わる。見える景色が変わると、自分の立ち位置と、次に向かう方向が見えてくる。これは、机の上で考えていても得られない種類の学びでした。
一人社長が「下流にいる」ことは、弱さなのか?
国 → 大手 → 中小 → 個人という流れの中で、一人社長は下流にいる——こう書くと、まるで立場が弱いように聞こえるかもしれません。でも、私はそうは思いません。下流にいるということは、上流で動いている大きなお金や仕事の「行き先」に、いちばん近い場所にいるということでもあります。大手や中小が動かしきれない細かなニーズ、現場に近い小回りの利く仕事は、むしろ私たちのような個人にこそ回ってきます。
大切なのは、自分が下流にいることを知った上で、「どの上流につながっておくか」を選ぶことです。たとえば今、国や大手がどの分野に予算を割こうとしているのかを知っていれば、その流れの末端で生まれる仕事を先回りして拾えます。流れの全体像が見えていない人は、ただ目の前に来た仕事をこなすだけになりますが、構造が見えている人は、自分から流れの良い場所に移動できる。同じ下流でも、この差はとても大きいのです。
「どこで戦うか」を一緒に考えます
一人社長は、どの場所に身を置くかで見える選択肢が大きく変わります。ノルツの起業支援では、目の前の売上だけでなく、経済の流れの中でどこを狙うか・どんな環境に出ていくかも含めて、視座を引き上げる伴走をします。まずは気軽にご相談ください。
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