この記事の要点
独立して4年間「何も変わらない」という停滞から抜け出せたきっかけは、「自分は本当は何がやりたいのか」というたった一つの問いでした。惰性の停滞は忙しさに隠れて気づきにくいもの。志(ミッション)を定めて語り始めた瞬間、「クライアント」ではなく共感でつながる「仲間」ができ、停滞が動き出しました。志は後からでも遅くありません。
独立してしばらく経つと、毎日はそれなりに忙しいのに、ふと「自分は何か前に進んでいるのだろうか」と立ち止まる瞬間があります。仕事はある。売上もそこそこある。でも、去年の自分と今の自分が、何も変わっていない気がする――。これは、まさに私自身が独立4年目に味わった感覚です。この記事では、その惰性の日々をどうやって断ち切ったのか、私の実体験(代表・原本の体験)をもとにお話しします。
「ただの技術者」として独立した4年間
私が独立したとき、自分の位置づけは「ウェブ制作者=ただの技術者」でした。業務委託でウェブ制作を請け負い、頼まれたものをつくって納品する。それだけの毎日です。志も、こうなりたいという明確な像も、正直なところ何もありませんでした。手を動かしていれば仕事は回るし、お金も入ってくる。だから、それで十分だと思っていたのです。
独立して半年ほど経った頃、世の中はコロナ禍に突入しました。世の中が大きく揺れ、多くの人が働き方を見直す中で、それでも私の働き方の本質は変わりませんでした。頼まれたものをつくり、納める。その繰り返しの中で、時間だけが淡々と過ぎていきました。むしろ、目の前の受託仕事があること自体が、立ち止まって考えないための言い訳になっていたのかもしれません。そして気づけば、独立から約4年が経っていたのです。
なぜ独立4年間の停滞に、気づけなかったのか?
転機は、ある営業の場でした。人と会って話す機会が増える中で、ふと自分のことを振り返ったとき、背筋が冷たくなるような感覚に襲われました。「独立してもう4年経つのに、自分は何も変わっていない」。技術は多少上がったかもしれない。取引先も少しは増えたかもしれない。でも、根っこのところで、独立初日の自分と今の自分が地続きで、何ひとつ前進していないように感じられたのです。
これは、単に売上が伸びていないという話ではありません。むしろ怖かったのは、「このまま10年経っても、たぶん同じままだ」と直感してしまったことでした。惰性というのは、痛みを伴わないぶん、気づきにくい。忙しさが、停滞を上手に隠してくれるからです。毎日タスクをこなしている限り、「動いている」感覚はある。でもそれは、同じ場所で足踏みしているだけかもしれない――そのことに、4年かけてようやく気づいたのです。
惰性の停滞は「忙しさ」に隠れる
仕事があり、売上があり、毎日忙しい。だから停滞していることに気づけない。
「前に進んでいる感覚」と「同じ場所で足踏みしている状態」は、外から見ると似ている。
立ち止まって振り返る機会がないと、何年でも同じ場所に留まってしまう。
独立後の停滞から、どうやって抜け出したのか?
では、私は何をきっかけに停滞から抜け出せたのか。特別なノウハウでも、新しいツールでもありません。抜け出せたのは、自分自身に「自分は本当は何がやりたいのか」と問い直したこと、たったそれだけでした。
それまでの私は、「どう仕事を取るか」「どう納品するか」という How ばかりを考えていました。でも、この問いは違います。手段ではなく、根っこにある動機を掘り起こす問いです。真剣に考えてみて出てきた答えは、意外なものでした。私は「挑戦する人をサポートしたい」――つまり、自分が主役として何かを成すよりも、挑戦する人の支援側に立ちたかったのです。この気づきが、4年間の停滞を動かす最初の一歩になりました。
志(ミッション)を掲げると、何が変わるのか?
その気づきをもとに、私は「挑戦する起業家をサポートする」という志(ミッション)を定めました。そして、それをただ心の中に持つだけでなく、起業家向けの交流会を主催し、来てくれる人にそのミッションを語り続けたのです。心の中に留めているだけでは、志は誰にも伝わりません。口に出して語ること、そしてそれを掲げた場を自分でつくることが、共感してくれる人と出会うための具体的な行動になりました。
すると、驚くほどはっきりと世界が変わりました。志がなかった頃――業務委託のウェブ制作だけをしていた時期は、「クライアントはいたけれど、仲間はいなかった」のです。取引はあっても、そこにあるのは「発注する人」と「受注する人」という関係だけでした。ところが、志を持ち、それを語り始めた瞬間から、「クライアントではない“仲間”」ができ始めました。同じ方向を見て、共感でつながる人たちです。そして、その仲間はどんどん増えていきました。
「クライアントはいました。ただ、仲間はいなかったんですよ。志を持った時に、クライアントじゃないけど仲間ができた」
これは、私にとって大きな発見でした。人との関係が「取引」から「共感でつながる仲間」へと変わったのです。振り返れば、志がなかった頃の私は「どう仕事を取るか」「どう納めるか」という条件のやり取りの中でしか人とつながれていませんでした。そこには、値段や納期といった取引の話はあっても、同じ方向を見て一緒に進む関係はなかった。志を語り始めて初めて、条件ではなく「何を目指しているか」で人がつながってくれるようになったのです。停滞していた4年間、私に足りなかったのは、スキルでも人脈術でもなく、「何のためにやるのか」という一本の軸だったのだと思います。
志はいつ持つべきなのか?
この経験から強く思うのは、志(ミッション)は本来、起業した“後”に後付けで探すものではなく、一番最初に持っておいた方がいい、ということです。私は消去法のように独立し、4年かけて遠回りしてようやくそこに辿り着きました。もし独立の時点で「自分は何がやりたいのか」を問えていたら、この4年はもっと違う景色になっていたはずです。
「志を持つというのは、起業した後に、本当は一番最初にやった方がいい」
とはいえ、後からでも遅すぎるということはありません。現に私は4年目からでも変わり始めました。大事なのは、惰性に気づいた「今このタイミング」で、一度立ち止まって問い直すことです。
いま停滞を感じているあなたへ
もし今、あなたが「独立したのに何も変わっていない」と感じているなら、それは決して悪い兆候ではありません。むしろ、私がそうだったように、その違和感こそが次に進むための入り口です。忙しさに隠れていた停滞に気づけたということは、変わるための最初の条件をすでに満たしています。
やるべきことは、新しいノウハウを買い集めることでも、もっと働くことでもありません。まず一度、手を止めて「自分は本当は何がやりたいのか」と自分に問いかけてみる。答えがすぐに出なくても構いません。その問いを持ち歩くだけで、日々の仕事の見え方が少しずつ変わっていきます。そして、その答え=志が見つかったとき、あなたの周りには「客」ではなく「仲間」が集まり始めるはずです。
「本当は何がやりたいか」を一緒に掘り下げます
惰性の停滞から抜け出す最初の一歩は、自分の志を言語化することです。ノルツの起業支援では、過去の棚卸しから「本当は何がやりたいのか」を一緒に掘り下げ、志を軸にした事業づくりを伴走します。一人で抱え込む前に、まずは気軽にご相談ください。
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