新規事業は先に小さくテスト。お客様にお願いして見えたこと

お客様の反応と運用の上限を、本格提供の前に確かめる方法

本記事は、ノルツ株式会社代表・原本昌悟の実体験(取材で語られた内容)に基づいて書いています。AIを使った業務自動化を新規事業として1つ立ち上げ、実際にお客様にお願いしてテストを行う中で見えたことをまとめました。

この記事の要点

新規事業は、本格提供の前にお客様へ「テストをさせてください」とお願いし、何件かだけ実際に回すのが私のやり方です。私はAIで業務を自動化し、その業務自体を売るサービスで何件かテストし、トークンの消費量と、同時に対応できるお客様の数の上限が見えました。テストと同時に「お客様が増えてもこの事業は成り立つのか」という問いを立てておくのが理想です。

公開日 2026-10-02 執筆:原本 昌悟(ノルツ株式会社 代表取締役)

ノートパソコンの画面を見ながら新規事業のテスト内容を確認する日本人の経営者

新規事業は、本格提供の前にどうやってテストすればいいのか?

私がとった方法は、サービスを完成させる前に、お客様へ「テストをさせてください」と直接お願いし、何件か実際に動かしてみることです。最小構成でも動く形にしてから声をかけたほうが、机上で考え続けるより早く判断材料が集まります。

私はAIを使って業務を自動化し、その自動化した業務自体をサービスとして販売するという発想で、新規事業を1つスタートしました。具体的にはクロード(Claude)のスケジュール機能を使って業務が回るように設定し、それをサービスとして提供しようとしたものです。

この段階でやったのは、完成品を作り込むことではなく、お客様に頼んでテストさせてもらうことでした。ノルツ株式会社代表・原本は、取材でこう話しています。

「こういう方法でやればいいんじゃないかという発想をするのがすごい大事です。それで実際にテストをしてみて、お客様の反応というんですかね、どういうような反応をされるのかとか、すごい大事だなというふうに思っています。」

私が実際に踏んだ流れは次の順番です。

  1. 「こういう方法でやればいいんじゃないか」という発想を、サービスの形にして言葉にする
  2. 最小構成で業務が回るように設定する(私の場合はクロードのスケジュール機能で自動化)
  3. お客様に「テストをさせてください」とお願いする
  4. 何件か実際に動かし、お客様の反応と運用の状況を見る
  5. 見えた問題にあわせて設計を直す

この5ステップは、完璧に作り切ってから世に出す流れの逆です。先に小さく動かすほうが、直す範囲も小さくて済みます。

お客様を巻き込んでテストすると、具体的に何が見えてくるのか?

お客様の反応だけでなく、運用の上限が数字として見えてきます。私のテストでは、トークンの消費量と、同時に対応できるお客様の数の上限が具体的に見えました。これは社内だけで試していた段階では分からなかったことです。

テストの価値は「売れるかどうか」だけではありません。実際にお客様の業務に入れてみると、提供側の負荷や上限が見えます。代表・原本は、取材でこう振り返っています。

「テストをさせてくださいとお願いをして、何件かテストをしたからこそ、このトークンの消費量とかね、上限の同時に対応できるお客様の数とかそういうのが見えてきたという問題がありますので、テストすることは本当に大事だなというふうに思っております。」

見える対象お客様を巻き込んだテストで分かったこと
お客様の反応実際にどういう反応をされるのか
提供コストトークンの消費量(私の場合、意外と大きかった)
提供できる件数同時に対応できるお客様の数の上限

つまり、テストは「需要の確認」と「運用の確認」を同時にやれる場です。1件でも実際に回せば、資料の中では決まらなかった前提が一つずつ埋まっていきます。

小さく試したときに見つかった想定外は何だったのか?

想定外だったのは、トークンの消費が意外と大きかったことです。クロードには5時間ごとに利用量の制限があり、企業数を増やすとその制限にかかってしまうことに気づきました。いまは、その制限にかからないやり方へ改善を進めています。

私が気づいた内容は、取材でそのまま話しています。

「意外とですね、トークンの消費が大きくて、クロードって5時間ごとに利用量の制限があるんですけれども、これ企業数を増やしてしまうと、この5時間の制限にどうしてもかかってしまうなということに気がつきました。」

大事なのは、これが「本格提供の前」に分かったという点です。お客様を増やしてから同じことに気づけば、直す範囲はサービス全体に広がります。何件かのテストのうちに分かったので、いま進めているのは5時間ごとの利用制限にかからないやり方への改善です。進行中の取り組みですが、直す対象がはっきりしている状態は、やることが明確で前に進めやすくなります。

なお、AIツールの利用量の制限やプランの条件は変わり得ます。本記事の内容は私のテスト時点の体験であり、執筆時点(2026年9月時点)の一般的な注意として、導入前に提供元の公式情報で最新の条件を確認してください。

小さな会議スペースで資料を広げ、サービスの提供上限を書き出して検討する日本人

テストと同時に立てておくべき問いは何か?

「お客様が増えても、この事業は成り立つのか」という問いです。私はテストをやりながら、実行する前の状態でこの問いを立てておくのが理想だと考えています。一人社長の新規事業は、最後はリソースとの戦いになるからです。

代表・原本は、この点を取材でこう話しています。

「結局事業を一人社長で事業をやるとき、リソースとの戦いになります。なので、この事業がスケールした場合にちゃんと回るのか、っていうところをね、あの問いを毎回立てるようにするといいんじゃないかなというふうに思っております。」

私の場合、この問いの答えに当たるのがトークンの消費量と利用制限でした。業務設計の時点では、お客様の数が増えたときの消費量や利用制限まで十分に想定しきれていませんでした。だからこそ、テストの前に次のような形で問いを立てておくと、確かめる項目がはっきりします。

  • お客様の件数が増えたとき、どの数字が先に上限に当たるのか
  • その上限は、設定や運用の工夫で広げられるものか
  • 件数が増えたとき、自分の作業時間も一緒に増える構造になっていないか

テストは「できる/できない」を見る場ですが、この問いを添えると「どこまでならできる」まで分かります。

想定外の制約が見つかったとき、次にやることは?

事業そのものを白紙にする前に、見つかった制約を前提にした設計に作り変えます。私はクロードの5時間ごとの利用制限にかからないやり方への改善を進めています。制約が特定できている状態は、直す場所が決まっている状態です。

テストで出てくる問題は、たいてい「全部ダメ」ではなく「ここが上限」という形で出てきます。私のケースでは、トークンの消費量と、企業数を増やしたときに当たる5時間ごとの利用制限という形で輪郭がはっきりしました。やることは、その制約の内側で成り立つ形を探すことです。

一般に、制約が見つかったあとの打ち手は次のように整理できます。

  1. どの数字が上限なのかを特定する(消費量なのか、同時に扱える件数なのか)
  2. 提供の設計を、その上限の内側に収まる形に変える
  3. 提供範囲や受け入れ件数を、上限と合う単位で決める

完璧な形になるまで待つのではなく、テストしながら直していく。新規事業の立ち上げは、この繰り返しで前に進んでいきます。

一人社長が新規事業のテーマを選ぶとき、どう判断するのか?

自分のリソースをあまり割かなくても提供できるかどうかで見ます。一人で独立すると、サービス提供・営業・経理財務処理など様々な業務に時間が取られるため、自分の時間を使わずに提供できる設計が望ましいと考えています。

一人社長の場合、サービス提供だけでなく営業や経理財務処理まで自分で抱えることになり、リソースはすぐ埋まります。そのため、私はテーマ選びの段階から「自分のリソースをあまり割かなくても提供できるか」を見ています。

リソースを割かないビジネスの例として挙げられるのは、営業代行(つないで成立する形)や採用代行(紹介して成立する形)です。最近はAIによる業務効率化・自動化も選択肢として増えてきました。私が今回スタートした新規事業も、この発想の延長にあります。

この考え方を詳しく書いた記事として一人社長はリソース勝負:自分の時間を使わずに提供できる事業の発想、今回のトークン消費と利用制限の話を扱った記事としてAI業務自動化のサービス化で、Claudeの利用制限から学んだことがあります。テーマを選ぶ段階と、テストで上限を確かめる段階は、セットで考えると判断がぶれません。

よくある質問

新規事業のテストは、何件やれば判断できますか?

件数の正解を言い切ることはできませんが、私の場合はお客様に「テストをさせてください」とお願いして何件か実施した段階で、トークンの消費量と同時に対応できるお客様の数の上限が見えてきました。まず動かして、判断に必要な数字が出てきたかどうかで見るのが現実的です。

サービスが完成していない段階でお客様に声をかけてもいいのでしょうか?

私は完成前に「テストをさせてください」とお願いし、何件か実際に回しました。完成を待つより、最小構成でも動く形を用意してお客様の反応を見たほうが、直す範囲が小さいうちに問題に気づけます。

テストで想定外の制約が出たら、その事業はやめるべきですか?

制約が見つかったこと自体は、直す場所が特定できた状態です。私はクロードの5時間ごとの利用制限にかからないやり方への改善を進めています。上限の内側で成り立つ設計に変えられるかを先に検討する流れがおすすめです。

AIツールを使ったサービスを作るとき、事前に確認しておくことはありますか?

利用量の制限やプランの条件は変わり得るため、執筆時点(2026年9月時点)の一般的な注意として、導入前に提供元の公式情報で最新の条件を確認してください。あわせて、お客様の件数が増えたときに消費量がどう増えるかを、テスト段階で測っておくと判断しやすくなります。

参考・出典

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