この記事の要点
AIで業務を自動化し、その自動化した業務自体をサービスとして販売する——この新規事業を1つ立ち上げたときに最初に見えた上限は、トークンの消費量でした。Claudeのスケジュール機能で業務が回るように設定したところ、5時間ごとの利用量制限があり、対応する企業数を増やすとその制限にかかると分かりました。上限はテストで測れます。私は現在、その制限にかからないやり方に改善中です。
公開日 2026-09-29 執筆:原本 昌悟(ノルツ株式会社 代表取締役)
AIで業務を自動化してサービスとして売ると、最初に見えてくる制約は何か?
私の場合、最初に見えた制約はトークンの消費量と、同時に対応できるお客様の数の上限でした。Claudeのスケジュール機能で業務が回るように設定してサービス化を進めたところ、企業数を増やすと5時間ごとの利用量制限にかかると分かりました。制約の場所が分かれば、そこを前提に設計をやり直せます。
一人社長で事業をやると、サービス提供も営業も経理財務処理も、すべて自分にリソースが集中します。だから私は、自分のリソースをあまり割かなくても提供できるビジネスモデルが望ましいと考えていました。AIによる業務効率化・自動化は、その選択肢として最近増えてきたものです。
そこで、AIを使って業務を自動化し、その自動化した業務自体をサービスとして販売するという発想で、新規事業を1つスタートしました。具体的には、Claude(クロード)のスケジュール機能を使って業務が回るように設定し、それをサービスとして提供する形です。
「意外とですね、トークンの消費が大きくて、クロードって5時間ごとに利用量の制限があるんですけれども、これ企業数を増やしてしまうと、この5時間の制限にどうしてもかかってしまうなということに気がつきました。」(ノルツ株式会社代表・原本)
つまり、サービスの品質やお客様の反応より先に、次の2つが上限として現れました。
- 1件の業務を自動で回すときに消費するトークンの量
- 同じ時間帯に同時に対応できるお客様(企業)の数
なお、AIツールの利用量制限の仕様は変わりうるものです。ここに書いた「5時間ごとの利用量制限がある」という点は2026年9月時点の前提として扱い、実際に事業設計へ落とし込むときは最新の公式情報で確認してほしいと思います。
トークン消費と利用制限は、どの段階で見えたのか?
机上の設計ではなく、お客様に「テストをさせてください」とお願いして何件かテストを実施した段階で見えました。実際に動かすと、1件あたりの消費量と、同時に対応できる件数が数字として現れます。テストを先に置いたことで、広げる前に上限を把握できました。
「テストをさせてくださいとお願いをして、何件かテストをしたからこそ、このトークンの消費量とかね、上限の同時に対応できるお客様の数とかそういうのが見えてきたという問題がありますので、テストすることは本当に大事だなというふうに思っております。」(ノルツ株式会社代表・原本)
テストで具体的に見えたのは、次のような点です。
- 自動化した業務を1件回すと、想定よりトークンの消費が大きいこと
- 企業数を増やしていくと、5時間ごとの利用量制限に当たる地点があること
- したがって、同時に対応できるお客様の数には現実的な上限があること
ここで大事なのは、これが「サービスとして成立しない」という話ではなく、「どこまでなら成立するかの線が見えた」という話だということです。線が見えれば、運用の組み方を変える、処理の重さを見直す、といった手が打てます。私は現在、5時間ごとの利用制限にかからないやり方に改善を進めています。
一人社長が「自分のリソースを割かずに提供できる事業」を選ぶときの見方は?
一人社長の事業は、結局リソースとの戦いになります。自分が動く量が増えにくいモデルを選ぶのが基本で、AIによる業務自動化もその一つです。ただし自動化型は、自分の時間ではなくツール側の利用量が上限になるため、そこを最初に見ておくと設計しやすくなります。
リソースを割かずに提供できる事業の例としては、つなぐことが提供価値になる営業代行や、紹介することが提供価値になる採用代行があります。そこにAIによる業務効率化・自動化が選択肢として加わってきた、というのが私の見ている流れです。
| モデル | 提供の形 | 上限になりやすいところ |
|---|---|---|
| 営業代行 | つなぐ | 自分が動ける回数 |
| 採用代行 | 紹介する | 自分が動ける回数 |
| AIによる業務自動化のサービス化 | 自動化した業務そのものを提供する | ツールの利用量(私の場合はトークン消費と5時間ごとの制限) |
自動化型は、設定してしまえば自分の作業時間に比例しにくいのが利点です。その代わり、上限の置き場所が自分の時間からツール側へ移る。私はテストを通じて、その移動先を具体的な数字として確認しました。どのモデルを選ぶにせよ、「何が先に頭打ちになるのか」を1つ挙げられる状態にしておくと、事業計画が現実に近づきます。
新規事業のテストは、何をどこまでやってから広げればいいのか?
私は「こういう方法でやればいいんじゃないか」という発想をまず形にし、お客様にお願いして何件かテストを行いました。テストでは反応と同時に、処理の重さや同時対応できる件数といった運用側の数字を取ります。広げるのは、その両方が見えてからで間に合います。
「こういう方法でやればいいんじゃないかという発想をするのがすごい大事です。それで実際にテストをしてみて、お客様の反応というんですかね、どういうような反応をされるのかとか、すごい大事だなというふうに思っています。」(ノルツ株式会社代表・原本)
私が実際に踏んだ順番は、シンプルなものでした。
- 自分のリソースを割かずに提供できる形はないか、という発想を出す
- その発想を、Claudeのスケジュール機能で業務が回るところまで具体的に組む
- お客様に「テストをさせてください」とお願いし、何件かテストを実施する
- お客様の反応と、トークン消費量・同時対応できる件数の両方を確認する
- 見えた上限に合わせて、運用のやり方を改善する
発想だけでも、運用の検証だけでも足りません。お客様がどう反応するかと、その提供が何件まで回るか。この2つがそろって初めて、値付けや提供数の設計ができるようになります。
「お客様が増えてもこの事業は回るのか」はどう問いを立てるのか?
一人社長の事業はリソースとの戦いになるので、実行する前の状態で「スケールしてもこの事業は成り立つのか」を考えておくのが理想です。私はこの問いを毎回立てるようにしています。具体的には、件数が増えたときに最初に頭打ちになる箇所を1つ特定します。
「結局事業を一人社長で事業をやるとき、リソースとの戦いになります。なので、この事業がスケールした場合にちゃんと回るのか、っていうところをね、あの問いを毎回立てるようにするといいんじゃないかなというふうに思っております。」(ノルツ株式会社代表・原本)
この問いを自分の事業に当てはめるとき、確認する観点は次のように分解できます。
- 1件あたりで消費するもの(時間・トークン・外注費など)はどれくらいか
- 同じ時間帯に同時に処理できる件数はどこまでか
- 件数が増えたとき、自分の時間・ツールの上限・外注先のどれが先に頭打ちになるか
- その頭打ちに当たったとき、提供のやり方を変えて吸収できるか
私の新規事業の場合、先に当たったのはツール側の利用量でした。逆に言えば、テストをしていなければ、お客様を増やしてから同じ壁に気づいていたはずです。実行前に問いを立て、テストで数字を取る。この2段構えにしておくと、事業を広げる判断がしやすくなります。
利用制限が見えたあと、次にやることは何か?
私が今やっているのは、5時間ごとの利用制限にかからないやり方への改善です。上限が具体的に見えているので、直す対象がはっきりしています。テストで得た数字は、そのまま改善の材料になります。
新規事業は1つスタートし、テストで上限が分かり、いまは運用の組み直しを進めている段階です。完璧な設計を先に用意してから出すのではなく、発想を形にし、テストで実測し、見えた制約に合わせて直していく。この進め方であれば、想定外が出ても事業そのものを止めずに前へ運べます。
創業期に同じような検証をする方には、次の3つを揃えておくことをおすすめします。
- 「この方法ならいけるのでは」という発想を、動く形まで具体化する
- お客様にお願いして、少数でいいので実際にテストする
- 件数が増えたときに最初に頭打ちになる箇所を、数字で押さえる
AIツールの仕様や利用量の制限は変わりうるものです(2026年9月時点)。設計の前提にする数値は、最新の公式情報で確認しながら進めてください。ノルツの起業支援では、こうした新規事業の検証手順や、スケールしたときに回るかどうかの問いの立て方を、月額顧問型で毎月一緒に整理しています。気になる方は、LINEまたはお問い合わせフォームからご相談ください。
よくある質問
AIで業務を自動化してサービスとして売るモデルは、一人社長に向いていますか?
一人社長はサービス提供・営業・経理財務処理まで自分にリソースが集中するため、自分の作業時間に比例しにくいモデルは選択肢になります。ノルツ株式会社代表・原本も、その発想で新規事業を1つ立ち上げました。ただし自動化型は、自分の時間ではなくツールの利用量が上限になるため、そこを先に測っておくと設計しやすくなります。
Claudeの利用制限に当たると、サービスは提供できなくなりますか?
原本の体験では、Claudeのスケジュール機能で業務を回す設計にしたところ、企業数を増やすと5時間ごとの利用量制限に当たると分かりました。現在は、その制限にかからないやり方へ改善中です。上限が具体的に見えていれば、運用の組み方で吸収する余地があります。なお利用量制限の仕様は変わりうるため、2026年9月時点の前提として扱い、最新の公式情報で確認してください。
テストは何件くらいやればいいですか?
原本の場合は、お客様に「テストをさせてください」とお願いして何件かテストを実施し、その中でトークンの消費量と同時に対応できるお客様の数の上限が見えてきました。件数そのものより、1件あたりの消費量と同時処理できる件数が数字で分かるところまで回すことが目安になります。
事業計画の段階で、AI活用サービスの何を確認しておくといいですか?
1件あたりで消費するもの、同時に処理できる件数、件数が増えたときに最初に頭打ちになる箇所、そこに当たったときに提供のやり方を変えて吸収できるか、の4点です。原本は「事業がスケールした場合にちゃんと回るのか」という問いを毎回立てるようにしていると語っています。
参考・出典
- Anthropic(Claude)公式サイト(2026年9月時点)
- Claude 公式ヘルプセンター(利用量の制限に関する案内)(2026年9月時点)
