金融機関も民間企業。創業期に担当者と関係を築くと決めた理由

大手銀行しか知らなかった私が視点を切り替えたところ

本記事は、ノルツ株式会社代表・原本昌悟の実体験(取材で語られた内容)に基づいています。起業前は大手銀行しか思い浮かばなかった原本が、起業後に金融機関との付き合い方をどう捉え直したかをまとめました。

この記事の要点

金融機関も民間企業で、お金を貸して利息で儲けるのが原則です。だから一般の会社との関係はBtoBの取引先になります。原本はこの前提に立ち、創業期は自社のあるエリアの信用金庫・信用組合と付き合い、担当者とどれだけ信頼を築けるかを軸にしました。口座開設は手続きではなく、取引先との関係の起点として考えています。

公開日 2026-10-23 執筆:原本 昌悟(ノルツ株式会社 代表取締役)

地域の金融機関の店舗前で書類を手に立つ日本人の経営者

金融機関を「取引先」と考えるとは、どういう意味か?

金融機関も民間企業であり、お金を貸してその利息で儲けるのが原則です。つまり一般の会社と金融機関の関係は、簡単に言えばBtoBの取引先になります。この視点があるかどうかで、誰と話すか、何を話すかの考え方が変わります。

ノルツ株式会社代表・原本は、起業前の自分の認識をこう振り返っています。

「金融機関って民間の企業なんですよね。っていうことを、起業する前って1回も考えたことがなかったんです。」

起業前の原本にとって金融機関は、窓口で預金・引き出し・振込・ローンができる場所という認識でした。サービスを使う側、つまり消費者としての見方だけがあった状態です。

起業して事業者になると、立ち位置が変わります。原本の言葉では次のようになります。

「金融機関と一般の会社っていうのはBtoBの取引先になります、簡単に言えば。ということは金融機関も儲けないといけないんですよね。」

「お金を貸してその利息で儲けるというのが金融機関の原則になります。」

創業期にできる最初の一歩は、自分が今どちらの目線で金融機関を見ているかを確かめることです。消費者の目線のままだと「どこが便利か」で考えが止まりますが、取引先として見ると「お互いに取引先として関係が成り立つか」という問いに変わります。この問いに切り替えるところから始められます。

金融機関も儲ける必要があるという前提は、創業期の何を変えるのか?

相手も利益を出す必要がある会社だと考えると、こちらから事業を伝える姿勢に変わります。原本は、取引先が膨大な大手銀行では、創業したての一人社長の会社は信頼関係のないただのローンのような扱いになりがちだと考えました。だから創業期は、関係を築ける相手を先に選ぶ、という判断をしています。

原本は、起業前の自分について「銀行といえば大手銀しか思い浮かばないという人でした」と語っています。そのうえで、大手銀行との関係については創業期にこう感じたと振り返っています。

「起業したての1人社長の会社とかだったら、大手銀からしたら相手にしないような会社になってしまうんですね。」

原本が創業期に感じたことを整理すると、次のようになります。

相手原本が創業期に感じたこと
大手銀行取引先が膨大で、創業したての一人社長の会社だと信頼関係のない、ただのローンのような扱い(BtoC的な扱い)になりがちだと考えた
信用金庫・信用組合中小企業に近い立ち位置の金融機関で、一人社長でも関係を築きやすいと考えた

これは大手銀行が良くないという話ではなく、創業期という時期に合う相手を選ぶという話です。事業が育った段階では、付き合う金融機関の顔ぶれは変わっていきます。創業期にやることは、まず自分の規模に合う相手と関係を始めることです。

応接スペースで担当者と向かい合って事業について話す日本人の経営者

創業期の自分が関係を築きやすいと感じた相手はどこだったのか?

原本が創業期に付き合うことを選んだのは、起業した地域にある信用金庫・信用組合でした。中小企業に近い立ち位置の金融機関で、創業したての一人社長でも関係を築きやすいと考えたためです。

原本は、今の考えをこう語っています。

「作るんだったら絶対にその起業した地域にある信用金庫、信用金庫とか信用組合って呼ばれるところですね。そういう金融機関と付き合うほうが絶対に良いです。」

これは創業期の自分の規模感での判断として語られたものです。原本が信用金庫・信用組合を中小企業に近い立ち位置と捉えているのは、次の説明にあらわれています。

「信用金庫、信用組合っていうのは、いわゆる中小企業に近いような立ち位置の金融機関になります。」

一般的な位置づけとして、信用金庫は会員の出資による協同組織の地域金融機関で、主な取引先は中小企業と地域の個人とされています(一般社団法人 全国信用金庫協会の公開情報。2026年9月時点。制度や取り扱いは変わることがあるため、最新の公式情報で確認してください)。原本の体験的な捉え方と、公開されている位置づけの方向が近かったことが、創業期の判断を後押ししました。

なお原本は、金融機関を大手銀行/地方銀行/信用金庫・信用組合/ネット銀行の4つに分けて捉え、創業期はまず自社のあるエリアの信用金庫・信用組合を決める、という順番にしています。分類ごとの位置づけや口座をどこに作るかの整理は、別の記事にまとめています。

起業時の口座をどこに作るかの整理はこちら(お金・資金調達のカテゴリ)

担当者が1社ごとに受け持つ体制は、創業期に何が違うのか?

原本が関わった信用金庫・信用組合では、担当者が企業を受け持ち、1社1社を見てくれる体制でした。相手が「窓口」ではなく「担当者」になることで、事業の中身を知っている人がいる状態をつくれます。原本は、関係づくりの核はここだと考えています。

原本は、自分が関わった信用金庫・信用組合の体制をこう説明しています。

「その金融機関の中に担当さんがいて、担当ごとに企業を受け持っているような状態ですね。だからその担当一人ごとに1社1社ちゃんと見てくれる、そういうところが信用金庫、信用組合になってきます。」

これは原本が実際に付き合った金融機関で感じた捉え方です。担当制の有無や運用の仕方は機関ごとに異なるため、取引を検討する際は各金融機関の最新の公式情報で確認してください(2026年9月時点)。

そのうえで、創業期に何が効くのかについて原本は次のように語っています。

「結局担当さんとどれだけ関係性築けるか、信頼を築くことができるかっていうのが非常に結局大事になりますんでね。」

創業期は実績も数字もこれから積み上げる段階です。だからこそ、書類だけで見られる関係より、事業の中身と人を見てもらえる関係のほうが向いている、という考え方です。

この視点に立つと、口座開設は「手続きを済ませる作業」ではなく「取引先との関係の起点」になります。創業期にできることは、自分の事業が何をしていて、どこへ向かっているのかを、担当者に説明できる状態にしておくことです。

創業期に担当者との関係づくりを選ぶと、次にやることは何か?

金融機関を取引先として見ると、口座は作って終わりではなく関係の入り口になります。原本は、金融機関も利益を出す必要がある民間企業だという前提に立ち、担当者と信頼を築けるかを軸にしました。次にやることは、関係の起点を一つ持ち、自分の事業を説明できる状態をつくることです。

原本が振り返っているのは、起業前に金融機関の選択肢を大手銀行だけに限定して考えていたことです。そこに欠けていたのは、金融機関がBtoBの取引先であり、民間企業として利益を出す必要があるという視点でした。

この視点を持ったあとに変わったのは、次の2点です。

  • 見る基準:窓口の便利さではなく、取引先として関係が成り立つかで見る
  • 話す相手:担当者が1社ごとに受け持つ体制の相手と、創業期から関係を始める

創業期にできることを順番にすると、こうなります。

  1. 自社のあるエリアで、地域の信用金庫・信用組合を候補として見ておく
  2. 口座開設の場面を、手続きではなく関係づくりの起点として使う
  3. 自分の事業が何をしていて、どこへ向かっているのかを担当者に説明できる状態にしておく

原本は、金融機関との付き合い方の学びとして「担当さんとどれだけ関係性築けるか、信頼を築くことができるか」が結局大事になると語っています。立派な資料を揃えることよりも、取引先に自分の事業を伝えられる状態をつくるほうが先、という順番です。

ノルツの起業支援では、こうした創業期の判断を毎月の伴走の中で一緒に整理しています。何から手をつけるかで迷っている段階の方は、LINEかお問い合わせフォームからご相談ください。

よくある質問

金融機関を「取引先」と考えるのはなぜですか?

金融機関も民間企業であり、お金を貸してその利息で儲けるのが原則だからです。ノルツ株式会社代表・原本は「金融機関と一般の会社っていうのはBtoBの取引先になります」と語り、この視点が起業前には無かったと振り返っています。

創業期に関係を築きやすいと感じた金融機関はどこですか?

原本は、起業した地域にある信用金庫・信用組合と口座を作り、付き合うようにしました。中小企業に近い立ち位置の金融機関で、創業したての一人社長でも関係を築きやすいと考えたためです。

大手銀行に口座を作るのは創業期には向かないのですか?

原本は、大手銀行は取引先が膨大で、創業したての一人社長の会社だと信頼関係のないただのローンのような扱いになりがちだと考えました。大手銀行が良くないという話ではなく、創業期という時期に規模感が合いにくいという本人の判断です。

担当者が1社ごとに受け持つ体制は、どの金融機関でも同じですか?

原本が関わった信用金庫・信用組合では、担当者が企業を受け持ち1社1社を見てくれる体制でした。ただし担当制の有無や運用は機関ごとに異なるため、取引を検討する際は各金融機関の最新の公式情報で確認してください(2026年9月時点)。

制度や金融機関の取り扱いは変わりませんか?

金融機関の商品・融資制度の内容は時期によって変わります。本記事は執筆時点(2026年9月時点)の整理で、原本の体験に基づく考え方が中心です。具体的な融資や条件については、各金融機関や公的機関の最新の公式情報、必要に応じて専門家で確認してください。

参考・出典

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