単発と月額の継続課金は組み合わせていい。契約の形の決め方

保守費用や顧問契約を単発案件とどう重ねるか

本記事は、ノルツ株式会社代表・原本昌悟が取材で語った内容(一人起業の収益モデルと契約形態の考え方)に基づいて構成しています。

この記事の要点

単発か月額かは、どちらかに決めきる必要はありません。「システム開発+保守費用」「顧問契約+大規模開発時の追加請求」のように、一つの取引のなかに単発分と継続分を重ねる形が組めます。先に決めるのはモデル名ではなく、自分の収益の波をどこまで平らにしたいか。そのうえで契約の形を組み合わせていく順番が考えやすいです。

公開日 2026-10-21 執筆:原本 昌悟(ノルツ株式会社 代表取締役)

ノートに単発の作業と月額の継続分を書き分けて契約の形を検討する日本人の起業家

単発の案件と月額の継続課金は、どちらかに決めないといけない?

決めきらなくて大丈夫です。ノルツ株式会社代表・原本は、収益の形を大きくストック型(毎月一定額が積み上がる型)とショット型(都度の受注)に分けたうえで、この分け方はきれいに割り切れるものではないと話しています。契約の形は自由に組み合わせられる、という前提から考えるほうが設計しやすくなります。

創業初期は「自分の事業はストック型かショット型か」を先に決めようとしがちです。けれども実際の契約書に書かれるのは、モデル名ではなく「何を、いつ、いくらで提供するか」です。ここを分解すると、ひとつの取引の中に単発分と継続分が同居する形はふつうに成立します。

「別にこの3つきれいに分かれるわけじゃなくて…いろんな契約の形態って全然自由だと思うんで、そこは柔軟に対応できると思うので、いろいろ組み合わせてやってみるのがいいんじゃないかなと思っております。」(ノルツ株式会社代表・原本)

この発言は、ストック型・ショット型といった分類を指して語られたものです。分類は頭を整理するための道具であって、契約をそこに合わせる必要はない、という考え方です。

最初に決めるのはモデル名ではない

  • 自分が提供するものを、一度きりで終わる部分と、続く部分に分けて書き出す
  • 続く部分に名前(保守、顧問、サポートなど)と月額をつけられるか検討する
  • その二つを一つの提案書に並べて出せるかを確認する

この三つが見えていれば、「どちらのモデルか」を先に悩まなくても契約の形は組めます。

単発(ショット型)と月額(ストック型)は、収入の見え方がどう違う?

単発は受注した月に売上が立ち、翌月はゼロから積み直しになります。月額の継続課金は、契約が続くかぎり同じ金額が毎月立ちます。ノルツ株式会社代表・原本は、一定数の契約が積み上がると収入の基盤が簡単には崩れなくなる点を、ストック型の一番いい点として挙げています。

違いは「金額の大小」ではなく「次の月に残るかどうか」です。同じ年間売上でも、残り方が違えば経営の打ち手が変わります。

観点単発(ショット型)月額の継続課金(ストック型)
売上の立ち方受注した月にまとまって立つ契約が続くかぎり毎月同額が立つ
翌月の状態ゼロから積み直し前月の分が残っている
積み上げたとき件数を毎月取り続ける必要がある件数が増えるほど基盤が崩れにくくなる
かかる手間案件ごとに作業量が発生するリソースを必要としないサービスであることが多い(原本の見立て)

「例えば100人集めて月100万円の収入ができるようになったら、そんな簡単には崩れなくなるっていうのが一番いい点です。」(ノルツ株式会社代表・原本)

これは説明のための例示の数字で、特定の事業の実績を示したものではありません。ポイントは「毎月の土台がある状態」をつくると、単発案件の受注が増減しても経営の判断が落ち着く、という構造のほうにあります。

単発と継続は、具体的にどう組み合わせられる?

ノルツ株式会社代表・原本が挙げている組み合わせは二つです。ひとつは「システム開発+保守費用」、もうひとつは「顧問契約+大規模開発時の追加請求」。前者は単発の制作を入口にして継続の保守を乗せる形、後者は月額の顧問を土台にして大きな仕事が発生したときに都度請求する形です。

組み合わせの二つの型

型入口継続部分追加で立つ売上
システム開発+保守費用単発の開発・制作納品後の保守費用(月額)改修・追加開発
顧問契約+大規模開発時の追加請求月額の顧問契約毎月の顧問料大規模開発が発生したときの請求

どちらも、単発と継続のどちらかを捨てていません。順番が違うだけです。前者は「まず一度きりの仕事で関係をつくり、そのあと続く部分に値段をつける」。後者は「まず毎月の関係をつくり、大きな仕事が出たときにその分を別で請求する」。

自分の事業に当てはめる手順

  1. 提供物を工程に分解する(設計・制作・納品・運用・改善など)
  2. 納品で終わる工程と、納品後も続く工程に線を引く
  3. 続く工程に名前と月額をつける(保守、運用、顧問など)
  4. 想定外の大きな作業が出たときの扱いを、追加請求として先に書いておく
  5. 単発分と継続分を1枚の見積書・提案書に並べる

4の「先に書いておく」が抜けると、大きな作業が月額の中に吸い込まれてしまいます。追加請求の条件を契約の形に最初から入れておくと、継続契約を長く続けやすくなります。

打ち合わせテーブルで見積書の構成を指差しながら話し合う二人の日本人

継続課金は、いくら×何件あれば収入の土台になる?

ノルツ株式会社代表・原本が例として挙げたのは、月3000円または月1万円の会費モデルです。会員が50人、100人と増えていけば事業が回っていく、月100万円の状態になればそう簡単には崩れない、という説明をしています。いずれも実績ではなく、考え方を示すための例示の数字です。

継続課金を設計するときに見るのは、単価と件数の掛け算です。同じ月100万円でも、単価と件数の組み合わせで必要な動きがまったく変わります。

単価必要件数の目安(月100万円の場合)性格
月3000円約333件多数を集める設計。一件あたりの対応を軽くする必要がある
月1万円100件会費モデルの例として語られた水準
月3万円約33件一社ごとに関わる余地が残る

月3000円・月1万円・会員50人/100人・月100万円という数字は、原本が説明のために挙げた例示です。表の中の必要件数は、その単価から計算した目安にすぎません。

件数から逆算して見えること

  • 単価が低いほど件数が必要になり、集客の仕組みが先に要る
  • 単価が高いほど件数は減るが、一件あたりの提供内容を明確にする必要がある
  • ストック型の多くは、リソースを必要としないサービスであることが多い(原本の見立て)。だからこそ、自分の時間がどれだけ乗るかを単価設計と一緒に確認しておく

まずは「自分の継続サービスを月いくらにするか」「何件で生活と事業が回るか」を紙に書いてみると、集めるべき件数が具体的な行動に変わります。

契約の形を決めるとき、最初に何を確認すればいい?

自分の事業の収益の波です。ノルツ株式会社代表・原本は、一人起業でやるときはまず自分のビジネスの収益が安定するのか不安定になるのかを認識しておくことが大事だと話しています。波の形が見えてから、それをどこまで平らにしたいかで契約の形を選ぶ順番になります。

収益の波を見るための4つの問い

  1. 今の売上のうち、来月も自動的に立つのは何円か
  2. 受注がゼロだった月に、残る売上はいくらか
  3. 一番売上が大きい月と小さい月の差はどれくらいか
  4. その差は、季節要因か、営業活動の波か

この4つを数字で書き出すと、「継続課金を足したい」という漠然とした不安が、「毎月あと◯円の土台が欲しい」という設計の話に変わります。土台の金額が決まれば、単価と件数の組み合わせも決まります。

波の形から契約の形へ

今の状態検討しやすい形
単発の制作・開発が中心で、月ごとの差が大きい納品後に続く作業に保守費用をつけ、月額部分を作る
すでに毎月の関わりがある相手が複数いる関わりを顧問契約の形にまとめ、大きな仕事は追加請求にする
提供物が形として残らない相談・支援系月額の継続契約を土台にし、スポットの依頼を別建てにする

どれも「単発をやめて月額にする」話ではありません。今ある売上を残したまま、毎月立つ部分を足していく発想です。

一度決めた契約の形は、あとから変えてもいい?

変えて構いません。ノルツ株式会社代表・原本は、契約形態は自由であり柔軟に対応できるので、いろいろ組み合わせてやってみるのがいい、という立場です。最初から一つのモデルに縛る必要はなく、やってみて合わなければ組み替える前提で始めるほうが動きやすくなります。

創業初期は、提供物も顧客も変わっていく時期です。そのタイミングで契約の形だけを固定すると、提供内容と請求の形がずれていきます。ずれたまま続けるより、更新のタイミングで組み替えるほうが、結果として続く契約になります。

組み替えるときに見るところ

  • 月額の中に、想定していなかった大きな作業が入り込んでいないか
  • 単発で受けている作業のうち、毎回発生しているものはないか(継続に寄せられる)
  • 継続分と追加請求分の線引きが、相手にも同じように見えているか

二つ目は特に見つけやすいポイントです。毎回同じ依頼が単発で来ているなら、それは保守や顧問の形にまとめられる可能性があります。

次にやること

  1. 提供物を「一度で終わる部分」と「続く部分」に線引きする
  2. 続く部分に名前と月額をつけて、見積書に並べてみる
  3. 大きな作業が出たときの追加請求の条件を、契約の形に入れておく
  4. 毎月立つ金額と、必要な件数を数字で確認する

自分の事業に当てはめるとどう組めるかを一緒に考えたい方は、LINEまたはお問い合わせフォームからご相談ください。ノルツの起業支援では、月額の顧問型で創業期の意思決定に伴走しています。

よくある質問

単発の案件が中心でも、月額の継続課金を足せますか?

足せます。ノルツ株式会社代表・原本が挙げた例のひとつが「システム開発+保守費用」で、単発の開発を入口にして、納品後に続く保守を月額にする形です。まず提供物を、一度で終わる部分と納品後も続く部分に分け、続く部分に名前と月額をつけられるかを確認するところから始められます。

月額の顧問契約を結んでいる相手から大きな仕事が出たら、どう請求しますか?

ノルツ株式会社代表・原本が例として挙げているのは「顧問契約+大規模開発時の追加請求」という形です。毎月の顧問料を土台にしつつ、大規模な開発が発生したときはその分を別途請求します。追加請求が発生する条件を契約の形に最初から入れておくと、月額の中に大きな作業が吸い込まれずに済みます。

ストック型は手間がかからないと考えていいですか?

ノルツ株式会社代表・原本は「このストック型のモデルって決まってるわけじゃないんですけれど、多くの場合がリソースを必要としないサービスなモデルなんじゃないか」と、留保をつけた見立てとして話しています。すべてがそうなるわけではないので、自分の継続サービスに自分の時間がどれだけ乗るかは、単価設計と一緒に確認しておくと安心です。

継続契約が何件あれば安定しますか?

ノルツ株式会社代表・原本は、月3000円や月1万円の会費モデルを例に、会員が50人、100人と増えれば事業が回っていく、100人集めて月100万円になればそう簡単には崩れない、という説明をしています。これは実績値ではなく考え方を示す例示です。自分の場合は「受注ゼロの月に残したい金額」から単価と件数を逆算すると、必要な数が具体的になります。

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