この記事の要点
起業時の口座は、金融機関を「大手銀行/地方銀行/信用金庫・信用組合/ネット銀行」の4つに分けて考えると順番が決まります。ノルツ株式会社代表・原本は、起業した地域にある信用金庫・信用組合を最優先にし、ネット銀行は1つ持てばよい、地方銀行は後のフェーズでよいと判断しました。基準は、担当者と1社ごとの関係を築けるかどうかです。
公開日 2026-10-17 執筆:原本 昌悟(ノルツ株式会社 代表取締役)
起業するとき、事業用の銀行口座はどこの金融機関に作ればいい?
ノルツ株式会社代表・原本は、起業した地域にある信用金庫・信用組合を最初に考えるべき先として挙げています。理由は、1社ごとに担当者がついて見てくれる体制があり、創業したての一人社長でも関係性を築きやすいからです。大手銀行だけを前提に考えていた起業前の自分とは、優先順位が逆になったと語っています。
起業の準備を進めていると、「法人口座はどこに作るのが正解なのか」で手が止まる人は多くいます。よくある状況で、原因ははっきりしています。会社員のときに接する金融機関が、ほぼ大手銀行だけだからです。
ノルツ株式会社代表・原本も、同じ入り口に立っていました。
「起業する前は私はですね、銀行といえば大手銀しか思い浮かばないという人でした。」
起業後、その前提が変わります。原本が出した結論は次のとおりです。
「作るんだったら絶対にその起業した地域にある信用金庫、信用金庫とか信用組合って呼ばれるところですね。そういう金融機関と付き合うほうが絶対に良いです。」
つまり、迷ったときにまず調べる対象は「自社が事業を営むエリアにある信用金庫・信用組合」です。ここを軸に置いたうえで、必要に応じて他の種類の口座を足していく、という順番になります。
次のセクションで、金融機関を4つに分類して、それぞれの位置づけを整理します。
金融機関は4つに分けるとどう違う?
ノルツ株式会社代表・原本は、金融機関を「大手銀行/地方銀行/信用金庫・信用組合/ネット銀行」の4つに分けて考えています。起業初期に優先度が高いのは信用金庫・信用組合で、ネット銀行は1つ持てばよい、地方銀行は後のフェーズでよいという整理です。
口座選びが難しく感じるのは、全部を同じ土俵で比べようとするからです。先に分類を分け、分類ごとに「いつ必要か」を決めると、判断がシンプルになります。原本が取材で挙げた4分類と、その中で言及した銀行名は次のとおりです。
| 分類 | 原本が例として挙げた銀行名 | 起業初期の位置づけ |
|---|---|---|
| 大手銀行 | みずほ、三菱UFJ、りそな銀行、新生銀行、ゆうちょ銀行、三井住友銀行 | 起業前はここしか思い浮かばなかった分類 |
| 地方銀行 | (取材では個別名の言及なし) | 後のフェーズでよいと判断 |
| 信用金庫・信用組合 | (取材では個別名の言及なし) | 起業した地域のところを最優先 |
| ネット銀行 | あおぞら銀行、楽天銀行 | 1つ持つという考え方 |
表のとおり、原本が起業前に知っていたのは1行目だけでした。4分類に分けたうえで、「今の自分の規模に合う分類はどこか」を考える。この順番にするだけで、どこから動けばいいかが決まります。
なお、各金融機関の商品内容や口座開設の条件は変わるため、実際に申し込む際は各社の公式情報を確認してください(執筆時点=2026年9月時点)。
なぜ地域の信用金庫・信用組合を先に考えるのか?
信用金庫・信用組合は中小企業に近い立ち位置の金融機関で、担当者が1社ごとに企業を受け持つ体制になっているためです。ノルツ株式会社代表・原本は、だからこそ創業したての会社でも1社として見てもらいやすいと理解し、起業した地域の信用金庫・信用組合と口座を作って付き合うようにしました。
原本が信用金庫・信用組合を優先した理由は、規模感と体制にあります。
「信用金庫、信用組合っていうのは、いわゆる中小企業に近いような立ち位置の金融機関になります。」
「その金融機関の中に担当さんがいて、担当ごとに企業を受け持っているような状態ですね。だからその担当一人ごとに1社1社ちゃんと見てくれる、そういうところが信用金庫、信用組合になってきます。」
創業期は、決算書の数字も取引実績もこれから積み上げる段階です。数字だけで判断される土俵に最初から乗るより、事業の中身を説明できる相手がいる環境のほうが、話が前に進みやすくなります。1社ごとに担当者がつくというのは、その環境がある、ということです。
選ぶときに最初に見る条件
- 起業した地域(自社が事業を営むエリア)にあること
- 企業ごとに担当者がつく体制になっていること
- 創業したての規模でも、1社として話を聞いてもらえること
具体的な行動としては、まず自社の所在エリアにある信用金庫・信用組合を洗い出すところからです。エリアを基本に据える、というのが原本の判断軸でした。
大手銀行は起業初期にどう位置づければいい?
ノルツ株式会社代表・原本は、大手銀行は取引先の数が膨大で、起業したての一人社長の会社とは関係性を築きにくい相手になりやすいと考えています。そのため起業初期は、信用金庫・信用組合を先に置き、大手銀行は自社の規模や必要性に応じて考える位置づけにしています。
この整理の前提にあるのが、「金融機関も民間企業である」という視点です。原本は、起業前にはこの視点を持っていなかったと振り返っています。
「金融機関って民間の企業なんですよね。っていうことを、起業する前って1回も考えたことがなかったんです。」
「金融機関と一般の会社っていうのはBtoBの取引先になります、簡単に言えば。ということは金融機関も儲けないといけないんですよね。」
「お金を貸してその利息で儲けるというのが金融機関の原則になります。」
起業前の原本にとって、銀行は「窓口で預金・引き出し・振込・ローンができる場所」でした。つまりBtoCのサービス提供者としての認識です。そこから、自社と金融機関はBtoBの取引先同士だという認識に切り替わったことが、口座選びの順番を変えた理由でした。
「起業したての1人社長の会社とかだったら、大手銀からしたら相手にしないような会社になってしまうんですね。」
これは大手銀行の善し悪しの話ではなく、取引先の数と体制の違いの話です。だからこそ、創業期の自分に合う分類から入る。大手銀行との取引は、自社の規模や必要性がはっきりしてきた段階で考えればよい、という順番になります。
ネット銀行と地方銀行はいつ持てばいい?
ノルツ株式会社代表・原本は、ネット銀行は1つ持つという考え方を持ちつつ、信用金庫・信用組合を持つことの重要度のほうが高いと整理しています。地方銀行の口座は、後のフェーズでよいと判断しました。
ネット銀行は、日々の入出金や振込のしやすさという点で使い道があります。原本も、ネット銀行をひとつ持つという考え方自体は持っています。取材でネット銀行の例として挙げたのは、あおぞら銀行と楽天銀行でした。
ただし優先順位としては、信用金庫・信用組合が上です。理由は、担当者と1社ごとの関係を築けるかどうかという軸で見ているからです。この軸で考えると、どの口座を先に作るかは次のように整理できます。
- 信用金庫・信用組合:起業した地域のところを優先して作る
- ネット銀行:1つ持つ。重要度は信用金庫・信用組合より下
- 地方銀行:後のフェーズでよい
- 大手銀行:自社の規模や必要性が見えてきてから考える
「全部を今すぐ作らなければ」と考える必要はありません。分類ごとに持つタイミングをずらすことで、最初にやることが1つに絞れます。
なお、ネット銀行の法人口座は各社で開設条件や手数料体系が異なります。申し込み前に各社の公式情報で最新の条件を確認してください(執筆時点=2026年9月時点)。
口座を作る順番はどう決めればいい?
ノルツ株式会社代表・原本の判断をそのまま順番にすると、起業した地域の信用金庫・信用組合が先、ネット銀行が次、地方銀行は後のフェーズ、という並びになります。エリアを基本に据え、担当者と関係を築けるかを基準に選ぶ形です。
起業準備の段階でそのまま使えるように、原本の判断を手順の形に並べます。
- 自社が事業を営むエリアを決める。金融機関選びは自社のあるエリアが基本になります。
- そのエリアにある信用金庫・信用組合を洗い出す。名称に「信用金庫」「信用組合」が付く金融機関が対象です。
- 1社ごとに担当者がつく体制かどうかを確認する。創業したての規模でも話を聞いてもらえるかが分かれ目になります。
- 口座を作り、取引を始める。原本は、起業した地域にある信用金庫・信用組合と口座を作り、付き合うようにしました。
- ネット銀行を1つ持つ。日々の入出金の使い勝手を補う位置づけです。
- 地方銀行・大手銀行は後のフェーズで考える。自社の規模や必要性が見えてから判断します。
この順番にしておくと、起業直後にやることは「エリアの信用金庫・信用組合を調べて、口座を作る」の1つに絞れます。残りは後回しにできる、という設計です。
金融機関と付き合ううえで、何が一番大事になる?
ノルツ株式会社代表・原本は、担当者とどれだけ関係性・信頼を築けるかが結局いちばん大事になると語っています。金融機関選びは、エリアを基本にしつつ、この関係を築ける相手かどうかで考える、という整理です。
分類や銀行名の比較は入り口にすぎません。原本が学びとして挙げているのは、その先にある関係づくりです。
「結局担当さんとどれだけ関係性築けるか、信頼を築くことができるかっていうのが非常に結局大事になりますんでね。」
この視点に立つと、口座選びの基準は次の2つにまとまります。
- エリア:自社が事業を営む地域にあるかどうか
- 関係性:担当者と信頼関係を築いていける相手かどうか
金融機関は民間企業であり、お金を貸して利息を得ることが原則の事業です。だからこそ、こちらも取引先として向き合う姿勢になる。口座を作ることはその出発点で、本番はそのあとの関係づくりだ、という順番になります。
起業準備中の方が今日できるのは、自社のエリアにある信用金庫・信用組合を調べて、まず1つ口座を作るところまでです。そこから先の付き合い方は、事業の内容と規模によって変わります。判断に迷うときは、同じ段階を通った人に聞きながら進めるのが早道です。ノルツの起業支援では、こうした創業期の判断をLINEやお問い合わせフォームから相談いただけます。
よくある質問
起業時に作る口座は、信用金庫と信用組合のどちらがいいですか?
ノルツ株式会社代表・原本は、信用金庫・信用組合を同じ分類としてまとめ、「起業した地域にあること」を条件に挙げています。どちらかを選ぶというより、自社が事業を営むエリアにあり、1社ごとに担当者がついて見てくれる体制かどうかで判断する、という考え方です。
大手銀行の口座は作らなくていいのですか?
作らないという話ではなく、順番の話です。原本は、起業したての一人社長の会社は大手銀行にとって取引先の数のなかで関係を築きにくい立場になりやすいと考え、起業初期は地域の信用金庫・信用組合を優先しました。大手銀行は、自社の規模や必要性が見えてきた段階で考える位置づけです。
ネット銀行だけで事業を回すのはどうですか?
原本は、ネット銀行をひとつ持つという考え方自体は持っています。一方で、信用金庫・信用組合を持つことの重要度のほうが高いと整理しています。理由は、担当者と1社ごとの関係を築けるかどうかを選ぶ基準に置いているためです。
地方銀行はいつ検討すればいいですか?
原本は、地方銀行の口座は後のフェーズでよいと判断しました。起業直後にやることを「エリアの信用金庫・信用組合で口座を作る」に絞り、地方銀行や大手銀行は規模や必要性が見えてから考える、という順番です。
法人口座の開設条件は調べればすぐ分かりますか?
開設の条件や必要書類、手数料は金融機関ごとに異なり、内容も変わります。執筆時点(2026年9月時点)の情報をもとに検討する場合でも、申し込み前に各金融機関の公式サイトや窓口で最新の条件を確認してください。
参考・出典
- 一般社団法人全国信用金庫協会(信用金庫の仕組み・店舗検索)(2026年9月時点)
- 一般社団法人全国信用組合中央協会(信用組合の仕組み)(2026年9月時点)
- 金融庁(免許・登録を受けている金融機関一覧)(2026年9月時点)
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