初期費用0円・月額制でホームページが売れた話|サブスクモデルの設計と賞味期限

単価制でも売れなかった値付けが、支払い方を変えただけで動き出した理由

この記事は、ノルツ株式会社代表・原本が、ウェブ制作で独立した後に「50万〜100万円の定価」「基本料金20万円+1ページ2万円の単価制」を試してどちらも売れず、最終的に「初期費用0円・月額制」にたどり着いた実体験をもとに書いています。価格そのものより支払い方の設計で商談が動いた経緯と、このモデルに賞味期限がある理由をお伝えします。

この記事の要点

私(原本)はウェブ制作で独立後、50万〜100万円の定価でも、基本料金20万円+1ページ2万円の単価制でも売れませんでした。最後にたどり着いたのが「初期費用0円・見積額÷20を月額・最低2年契約」というサブスクモデルです。価格の高低ではなく支払いのハードルを崩したことで商談の土台に乗れました。ただしこのモデルには賞味期限があり、今のウェブ制作市場ではそのまま通用しにくくなっています。

独立してすぐに直面したのが、値段の付け方でした。会社員時代に勤めていた制作会社では、ホームページ1本およそ200万円前後で受注していました。ただしこれはデザイナーとコーダーが分業する体制込みの価格です。独立後の私にはその体制がなく、ヒアリングからデザイン、実装まで一人で対応することになりました。デザインの質は1ランク落ちる、それは自分でも分かっていました。この記事では、定価制・単価制と失敗を重ねたあと、最終的に「初期費用0円・月額制」というサブスクモデルにたどり着いた経緯と、その仕組みに賞味期限がある理由を、当時の数字のまま書きます。

契約書にペンでサインする日本人の手元のクローズアップ

なぜ「質に見合った定価」を下げても売れなかったのか?

結論から言うと、原価と品質から積み上げた「正しい値段」でも、目の前の相手に予算とニーズがなければ売れません。私が最初に設定したのは50万〜100万円でした。前職の相場およそ200万円の4分の1から2分の1にあたる水準で、「質が1ランク落ちる分を割り引いた」つもりの価格です。

この価格には自分なりの理屈がありました。品質が下がるなら値段も下げるのが筋だという、原価と品質からの積み上げです。実際、200万円と比べれば圧倒的に安い。それでも決まりませんでした。当時の私は「まだ高いのだろうか」と価格の側ばかりを疑っていましたが、疑うべきはそこではなかったと今は分かります。50万円が高いか安いかを判断できるのは、そもそもホームページに50万円を出す予算と必要性がある相手だけだからです。

単価制に変えても売れなかったのはなぜか?

料金体系の矛盾は解けましたが、売れるようにはなりませんでした。1ページの案件から100ページの案件まで矛盾なく説明するために、基本料金20万円+1ページあたり2万円の単価制に切り替えたのです。10ページのサイトなら20万円+20万円で40万円という計算になります。

説明力は上がりました。金額としても前職の200万円前後より十分に安い水準です。それでも、実際に売り出してみたところ結果は同じでした。当時の私の言葉をそのまま書けば、「それで実際に売り出してみようとしたところ、売れませんでした」。価格の説明可能性を上げても需要が生まれるわけではなかった、というのがこの2回目の失敗です。原因は、当時値段を提示していた相手が交流会で知り合った目の前の人たちで、その人たちに強いニーズと予算がなかったことでした。「交流会で知り合った目の前の人がそれを買ってくれるかといったら、そんなお金普通ないんですよね」というのが当時の実感です。

初期費用0円・月額制とは、どんな仕組みか?

私が発想を転換して作ったのが「初期費用0円」モデルです。仕組みは次の3ステップだけです。

  1. 通常どおり、制作内容から見積もり金額を算出する
  2. その見積額を20で割った金額を、月額費用として設定する
  3. 初期費用は0円とし、最低2年間の契約とする

当時の私の説明はこうです。「初期費用をゼロ円にする代わりに、本来の見積もりの製作金額を、20で割った金額を月額費用としていただく」。相手からすると、まとまった資金を用意しなくてもホームページを持てる形になります。運用は正直まちまちで、相手によっては同額の分割払いに切り替えたケースもありました。きれいに設計しきったモデルというより、目の前の相手に合わせて形を変えていた、というのが実態です。

笑顔で握手する二人の日本人ビジネスパーソン

支払いのハードルを下げると、何が変わったのか?

変わったのは価格そのものより、話を聞いてもらえるかどうかでした。当時はホームページ制作の初期費用0円がまだ珍しく、「0円なの?」という食いつきで会話の土台に乗れるようになったのです。効果は契約数より先に、商談が始まるかどうかに出ました。

そして興味深いのは、月額化そのものが最終ゴールではなかったという点です。説明を聞いたうえで、「じゃあ一括で払うよと言って払ってくれる方も、中にはいらっしゃいました」。つまり支払いのハードルを一度崩すことで、相手が本気で検討してくれる状態を作れた。そこから一括払いを選ぶ人が出てきても、それは想定の範囲内でした。目的は月額そのものではなく、検討の土俵に上がってもらうことだったのです。

3つの価格モデルを比べると何が見えるか?

私が独立後に実際に試した3つの料金設計を並べると、価格の高さではなく「支払いの入り口」が結果を分けていたことが分かります。

価格モデル内容結果
定価制50万〜100万円売れなかった
単価制基本料金20万円+1ページ2万円(10ページで40万円)売れなかった
初期費用0円・月額制見積額÷20を月額、最低2年契約「0円なの?」の食いつきで商談の土台に乗れた。一括払いに切り替える人も出た

参考までに、私が見てきた範囲では、広告代理店経由で発注されるホームページ制作の案件には、代理店側が400万〜500万円を取っているものもありました。その構造なら、制作側がその半分程度を受け取っても成立します。同じ制作物、同じ私の腕でも、届く先が変われば成立する金額はまるで違う。それでも、交流会の目の前の相手に対しては、定価制でも単価制でも動かなかった商談を、支払い方の設計だけで動かせたというのがこの実体験の核心です。

初期費用0円モデルは今も通用するのか?

私の見立てでは、ウェブ制作の領域では今は通用しにくくなっています。理由は競合環境の変化です。コロナ禍のあと、「実績を作りたいので無料でもいいから作らせてほしい」という同業者が大量に現れました。「実績作りたいんで、無料でもいいんで作らせてくれみたいな、すごい溢れちゃっていたので、そのモデルは今では通用しないんじゃないかな」というのが、今の私の判断です。

初期費用0円の強みは「支払いのハードルを競合より低くできること」でした。ところが競合の下限が0円まで落ちれば、そのハードルの差は消えます。つまりこのモデルは、価格の常識が固まっている市場でこそ効く手段だったわけです。業界を変えれば、同じ発想がまだ有効な可能性は十分にあると考えています。

同じ値付け発想を、これから使うならどう設計すべきか?

私の失敗と成功を踏まえると、支払い方の設計で考えるべき順番は次のとおりです。

  1. まず定価・単価で試す:品質と原価から積み上げた価格が、目の前の相手に通じるかを確認する。通じなければ、問題は価格ではなく支払いの入り口にある可能性を疑う。
  2. 支払いのハードルを崩す選択肢を用意する:初期費用0円・月額化・分割など、検討の土台に乗るための入り口を持っておく。
  3. 契約期間で採算を確保する:月額を見積額÷20のように短すぎない期間で設計し、最低契約期間を明示することで、月額化しても採算が崩れないようにする。
  4. 相手に応じて運用を崩す余地を残す:一括払いや分割払いなど、相手の希望に合わせて着地点を変えられるようにしておく。
  5. モデルの賞味期限を前提に置く:競合の価格の下限が変われば、同じモデルの効き目は薄れる。市場環境を見ながら、支払い方の設計自体を組み替え続ける。

安さそのものは独立直後の武器になりませんでした。私が50万円でも40万円でも売れなかったのは、価格の高低ではなく、目の前の相手にそれだけの予算とニーズがなかったからです。支払いのハードルを崩したのは、その相手に検討の土俵に上がってもらうための入り口にすぎません。今、値決めで行き詰まっているなら、価格を削る前に、届けている相手や支払いの入り口を変えられないか考えてみる価値があります。

価格ではなく「支払いの入り口」を一緒に設計します

値段を下げても売れないとき、原因が価格なのか、支払いのハードルなのか、届けている相手なのかを一人で切り分けるのは難しいものです。ノルツの起業支援では、代表・原本自身の失敗も含めた実体験をもとに、誰に・どう届けて・どう支払ってもらうかを一緒に設計します。まずは気軽にご相談ください。

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