実績ゼロから信頼を作る方法

「いい商品」だけでは選ばれない。信頼は意図して作る

この記事は、ノルツ株式会社代表・原本が、起業支援の現場で実際に伝えている「信頼の作り方」をもとに書いています。実績がまだない創業期だからこそ、何を用意すれば選ばれるのかを、具体例とともにお伝えします。

この記事の要点

実績ゼロから信頼を作るには、信頼を「実績」「人間関係」「看板」の3種類に分解し、自分がどれで勝負するかを決めるのが近道です。創業期は紹介や対話による人間関係ベースの信頼が現実的な武器になり、あわせて最初の一社の成果を数字と事例で語れる形に残していきます。自分の努力量ではなく、相手にもたらした結果を数字で示すことが「選ばれる理由」になります。

「これは本当にいい商品だ。競合もいないし、絶対に売れるはずだ」——起業支援の現場で、創業期の方からよくこうした声を聞きます。私、ノルツ代表の原本自身も、新しいサービスを考えるとき、同じように感じることがあります。ところが現実には、どれだけ商品が良くても、それだけでは売れないことがあります。あいだに「信頼」がないからです。この記事では、実績がまだないところからどうやって信頼を作っていくのかを、私が支援先にお伝えしている考え方と具体例にそって整理します。

商談で握手を交わす二人の日本人ビジネスパーソン

なぜ「いい商品だったら売れる」とは限らないのか?

「いい商品だったら売れる」と思っている方は、本当に多いと感じます。気持ちはよくわかります。自分が時間をかけて磨いたサービスには、当然それだけの価値があると信じたくなるものです。けれど、お客さんの立場に立ってみると話は変わります。買う側からすれば、その商品が本当に良いものかどうかは、買ってみるまで分かりません。だからこそ、「この人(この会社)が言うことなら信じられる」という土台——つまり信頼が必要になるのです。

結局のところ、信頼がないと売れないものがあります。そして、この「信頼とは何か」という問いは、考え始めると非常に奥が深い。ただ、漠然と「信頼が大事」と言っていても前に進めません。そこで私は、信頼を分解して、要素ごとに「自分はどれで勝負するか」を考えることをおすすめしています。

信頼はどうやって作れるのか?—大きく3つの種類に分けられる

信頼を作るといっても、方法は一つではありません。整理すると、信頼はおおよそ三つの源から生まれます。「実績による信頼」「人間関係ベースの信頼」「看板による信頼」です。創業期に自分がどれを持っていて、どれが足りないのかを把握するだけでも、打ち手はずいぶん見えやすくなります。

1. 実績による信頼

もっとも分かりやすいのが、過去の成果です。「これだけの数をこなしてきた」「こういう結果を出した」という事実は、相手に安心感を与えます。実績がある人は、これを数字と事例の形で語れるかどうかが勝負になります。

2. 人間関係ベースの信頼

「あの人の紹介だから間違いない」「何度も対話を重ねてきたから、この人なら信じられる」——こうした関係から生まれる信頼です。実績がまだ少ない創業期にとって、ここはとても現実的な武器になります。

3. 看板による信頼

名前の通った大手であれば、社名を出すだけでそれが信頼になります。「あの会社がやっているなら」という安心です。ただし、これは創業したばかりの一人会社には、最初は使いにくい源でもあります。

売上の成長を示すグラフと数字の資料

実績はどう語れば信頼になるのか?—「本を2000冊読んだ」より「24社中23社」

実績による信頼が、なぜそれほど効くのか。私がよく使うたとえ話があります。二人のコンサルタントがいて、あなたの会社の売上を上げたいと提案してきたとします。Aさんはこう言います。「私はこれまで2000冊の本を読んできました。だから御社の売上向上に貢献できます」。一方、Bさんはこう言います。「昨年24社にコンサルティングを提供し、24社中23社が売上前年度比130%以上を達成しました」。

さて、あなたはどちらと契約したいでしょうか。おそらく、多くの人がBさんを選ぶはずです。本を2000冊読んだという事実は努力の証ではありますが、それが相手の売上向上に直結するとは限りません。対して「24社中23社が130%以上」という数字は、まさに相手が求めている結果そのものを示しています。同じ「信頼してほしい」という訴えでも、伝わり方がまったく違うのです。実績を語るときは、自分がどれだけ頑張ったかではなく、相手にどんな結果をもたらしたかを、具体的な数字と事例で示すことが肝心です。

数字は「盛らない」。それも信頼のうち

実績を語るときに大切なのは、数字を正直に扱うことです。よく見せたくて「100社」と言いかけて、本当は「24社」だった——そんな食い違いは、かえって信頼を損ないます。多少地味でも、確かな数字を、確かな範囲で語る。その誠実さ自体が、長い目で見れば信頼の一部になります。

実績がまだないときは、どう信頼を作ればいいのか?—関係と誠実さで作る

「とはいえ、自分にはまだ語れる実績がない」。創業期であれば、当然そうだと思います。ここで効いてくるのが、二つ目の「人間関係ベースの信頼」です。実績がゼロでも、紹介や対話を通じて「この人なら間違いない」と思ってもらうことはできます。たとえば、信頼されている人から紹介してもらう。あるいは、相手とていねいに対話を重ね、こちらが何を大事にしているかを伝え続ける。こうした積み重ねは、数字がなくても信頼を生みます。

もう一つ、創業期にこそ意識したいのが「小さな実績を、語れる形で残す」ことです。最初の一社、最初の一人のお客さんに全力で向き合い、その結果を数字や事例として記録しておく。「24社中23社」も、最初は「1社中1社」から始まります。今いただいた仕事を、未来の信頼の材料に変えていく意識を持つと、実績ゼロの時期の動き方が変わってきます。

創業期に信頼がないのは、ダメなことなのか?—あなたのせいではない

もう一つお伝えしておきたいのは、創業期に信頼がないのは当たり前だ、ということです。誰だって最初は実績ゼロから始まります。名の知れた大手も、最初の一社目を獲ったときは「実績のない無名の会社」でした。だから「信頼がないから売れない」と落ち込む必要はありません。落ち込むかわりに、「では、どの種類の信頼から積み上げようか」と問いを立て替えるだけで、やるべきことははっきりしてきます。信頼は才能ではなく、設計と積み重ねでつくれるものなのです。

三つの信頼は、どう組み合わせると強くなるのか?

実績・人間関係・看板の三つは、どれか一つに絞らなければいけないものではありません。むしろ、組み合わせるほど信頼は厚くなります。たとえば、信頼している人からの紹介(人間関係)で出会い、そこで小さな成果(実績)を数字で示し、さらにその取り組みがどこかで取り上げられれば、それが新しい看板になっていく——というように、一つの信頼が次の信頼を呼び込む流れをつくれます。創業期は、この循環の最初の一歩をどこから踏み出すかを決めることが大切です。

私が支援の現場でよくやるのは、相手と一緒に「あなたはいま、三つのうちどれを一番持っていますか」と棚卸しすることです。人脈が豊かな人なら、まず紹介から動く。すでに一件でも成果があるなら、それを語れる数字に整える。こうして自分の現在地を確かめると、「実績がないから何もできない」という思い込みがほぐれていきます。信頼は、ゼロかイチかではなく、いま手元にある材料から少しずつ積み上げていけるものなのです。

商品より先に、「選ばれる理由」を用意する

ここまで読んで気づいた方もいるかもしれません。信頼づくりとは、商品そのものを磨くこととは別の作業だ、ということです。良い商品をつくる努力と、その良さを信じてもらうための準備は、車の両輪です。どちらかが欠けると前に進みません。「いい商品なのになぜか売れない」と感じたら、商品をさらに磨く前に、信頼の三要素のうち自分には何があって何が足りないのかを、一度棚卸ししてみてください。

なお、「いい商品なのに売れない」という状態そのものの正体については、「いい商品なのに売れない」の正体は信頼不足でより深く掘り下げています。本記事の「信頼の作り方」とあわせて読むと、診断から対策までが一本につながります。

信頼の設計を、一緒に整えます

「実績がないから売れない」と感じている段階こそ、信頼の設計図を描く好機です。ノルツの起業支援では、あなたの実績・関係・看板を棚卸しし、「数字と事例でどう語るか」まで一緒に組み立てます。創業期の見せ方に迷ったら、まずは気軽にご相談ください。

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