この記事の要点
起業への思いが弱いと感じるなら、無理に続けるより「辞める」も一つの正解です。ノルツ株式会社代表・原本は、伴走支援の現場で思いの弱いクライアントに対し「申し訳ないですが、起業を辞めた方がいい」と正直に伝えてきました。理由は、思いが弱いままの起業はうまくいきにくく、「辞めた方がいい」と言われて辞めるくらいなら最初から起業しない方がよいからです。ミッションを掘り下げる過程で「人生をかけてやりたいことは起業ではなかった」と分かるケースもあり、その気づき自体が伴走の成果になります。
起業支援というと、背中を押して前に進ませることだと思われがちです。ですが私(原本)は、伴走支援の現場で「起業を辞めた方がいいのではないか」と本人に伝えることがあります。これは冷たく突き放すためではなく、本人の人生に対して誠実であろうとした結果です。この記事では、どういうときに「辞める」を勧めるのか、そしてなぜ「辞める」ことも一つの正解だと考えているのかを、実際にあったケースのまま解説します。数字を盛るつもりはありません。うまくいった話より、うまくいかなかったケースの方が、これから起業を迷う人の役に立つと思うからです。
起業への「思いが弱い」とは、どういう状態のことか?
「思いが弱い」とは、起業を通じて成し遂げたいことが自分の中で定まっていない、あるいはその熱量がさほど高くない状態を指します。何かを始めたい気持ちはあっても、「なぜそれを自分がやるのか」の核が薄い状態です。私が伴走支援で出会う中でも、こうしたケースは決して珍しくありません。
私自身の言葉で言えば、「そもそも思いがさほどないケースっていうのはやっぱりどうにもならないなと思いますし、あとそれが弱いケースっていうのもあるんですね」という実感があります。前者は起業への動機そのものがほとんどない状態、後者は動機はあるものの弱く、逆風の中で踏ん張る力になりにくい状態です。
ここで大事なのは、「思いが弱い=ダメな人」ではないということです。思いの強さは能力や人格の優劣ではありません。ただ、起業という手段がその人にとって本当に必要かどうかを見極めるうえで、思いの強さは避けて通れない材料になります。だからこそ、伴走の初期にここを正直に見るようにしています。
なぜ思いが弱いと、起業を辞めた方がいいと伝えるのか?
思いが弱いまま起業しても、続けるうちに立ち行かなくなる可能性が高いからです。起業の現場は、思うように売上が立たない時期や、孤独な判断を迫られる場面の連続です。それを乗り越える原動力は、最終的に「自分はこれをやりたい」という思いの強さに帰ってきます。ここが弱いと、最初の逆風で心が折れてしまいやすいのです。
だから私は、思いが弱いと判断した場合、正直にこう伝えています。「あんまり思いが弱かったりした場合は、申し訳ないですけど、起業を辞めた方がいいんじゃないかなというふうに私は考えています」。伴走を担う立場として、聞こえのいい励ましだけを並べて起業に踏み出させることは、かえって不誠実だと考えているからです。
もちろん、これは相手を否定するために言うのではありません。限られた時間とお金を、本当に力を注げる対象に向けてほしいからこそ伝える言葉です。起業は人生の大きな資源を投じる選択です。その資源を、思いの弱い事業ではなく、本人が本当に打ち込めるものに使ってほしい。その願いが根っこにあります。
「辞めた方がいい」と言われて辞めるなら、最初から起業しない方がいいのか?
はい、私はそう考えています。他人の一言で揺らいで辞められる程度の思いなら、そもそもその起業は本人の芯から出たものではない可能性が高いからです。だから私は、辞めることを勧める場面で、この点もあえて隠さず伝えます。
私の言葉のままに言えば、「辞めた方がいいよって言われて辞めるぐらいだったら最初から多分起業しない方がいいので、そこは私はそれも含めて言っちゃいます」ということです。一見きつい言い方に聞こえるかもしれませんが、これはある種のテストにもなっています。
本当に思いの強い人は、私が「辞めた方がいい」と言っても、辞めません。「いや、それでも自分はやりたいんです」と返してきます。その反応こそが、思いの強さの証明になります。逆に、その一言であっさり気持ちが折れてしまうなら、起業の途中で必ず訪れるもっと大きな逆風には耐えられません。だから、辞めるかどうかを問い直す言葉は、思いの強さを本人自身に確認してもらう機会でもあるのです。
ミッションを掘り下げたら「起業ではない道」だった場合はどうなるのか?
ミッションを掘り下げる過程で、本当にやりたいことが起業とは別の分野だと分かることがあります。その場合、無理に起業へ結びつけるのではなく、その人にとっての本来の道を尊重します。起業はあくまで手段であって、目的ではないからです。
私の伴走では、ミッション策定の一環として「人生をかけて何を成し遂げたいか」を深く掘り下げるワークを行います。私の言葉で言えば、「人生をかけて何を成し遂げたいかみたいな、そんな感じのところを引っ張り出したりするんですけども、それを引っ張り出したときに起業じゃなくなったっていうケースもありましたね」ということが実際に起きます。掘り下げた結果、その人が本当に向かいたい先が、起業という手段では実現しないものだった、というケースです。
正直に言えば、これは私にとって難しい場面でもあります。「そうした後、私としてはサポートがちょっと難しいなという分野でしたので、そちらに関しては失敗事例になるんですかね」と感じることもありました。ノルツの伴走支援は起業や経営を対象にしているため、答えが起業以外の領域に向かったとき、私が伴走し続けられる範囲を超えてしまうからです。それでも、本人が本当の望みに気づけたのなら、起業に無理やり押し込むより、そちらを選んでもらう方が誠実だと考えています。
「辞める」という結論は、伴走支援の失敗なのか?
いいえ、私は「辞める」も伴走支援の一つの成果だと考えています。思いが弱いまま起業して立ち行かなくなるより、始める前に「辞める」と気づけた方が、その人の人生にとってはるかに良い結果になり得るからです。
私の実感はこうです。「結局、辞めるっていう選択肢も一つの正解だったんじゃないかなというふうには思います」。実際、「辞めた方がいい」と伝えて本当に起業を辞めた人は、そのまま起業していても、うまくいかなかった可能性が高いと見ています。だとすれば、時間とお金と気力を消耗し切ってから諦めるより、着手前に方向転換できた方が、傷は浅くて済みます。
世の中には「起業は続けることに価値がある」「諦めなければ夢は叶う」という語りが溢れています。それ自体を否定はしません。ただ、思いが弱いのに周囲の空気や勢いで走り出してしまうと、後戻りが難しくなります。だから私は、続けることだけを一律に肯定するのではなく、「辞める」という選択肢を正面から示すことも、伴走の大切な役割だと考えています。辞めるという結論に至ったとき、それは失敗ではなく、本人が自分の人生に正直になれた瞬間だと捉えています。
起業への思いが強いか弱いか、自分でどう見極めればいいか?
思いの強さは、他人に説得されて揺らぐかどうか、そして「なぜ自分がやるのか」を自分の言葉で語れるかどうかで測れます。以下の問いに答えてみると、自分の思いの現在地がある程度つかめます。あくまで自己点検の目安であり、優劣を決めるものではありません。
- 「なぜ他の誰でもなく、自分がこれをやるのか」を、自分の言葉で説明できるか。
- 信頼する人から「辞めた方がいい」と言われても、「それでもやりたい」と言い切れるか。
- 売上が立たない時期が続いても、この事業を続けている自分を想像できるか。
- 起業そのものより、「起業で実現したい状態」の方に強く心が動くか。
- その思いは、他人の期待や世間体ではなく、自分の内側から出てきているか。
これらに迷いなく「はい」と答えられるなら、思いは強い方向にあります。逆に、多くが言葉に詰まるなら、いま一度「本当に起業という手段が必要なのか」を掘り下げてみる価値があります。下の表は、思いが強いときと弱いときに現れやすい違いを整理したものです。
| 観点 | 思いが強いとき | 思いが弱いとき |
|---|---|---|
| 動機の源 | 自分の内側から湧く「やりたい」 | 周囲の期待・世間体・勢い |
| 反対されたとき | 「それでもやる」と言い切れる | 一言で気持ちが折れる |
| 語れる言葉 | なぜ自分がやるのかを自分の言葉で説明できる | 説明が借り物・抽象的になる |
| 手段への執着 | 実現したい状態が主で、起業は手段 | 「起業すること」自体が目的化している |
もし掘り下げた結果、思いが弱いと感じても、落ち込む必要はありません。それは「起業という手段が、いまの自分に合っていないかもしれない」という有益な気づきです。手段を変えれば、本当にやりたいことに近づける場合もあります。大切なのは、弱い思いのまま勢いで走り出さず、自分の本音と一度きちんと向き合うことです。
「続けるか、辞めるか」を一緒に掘り下げます
起業への思いが強いのか弱いのか、自分一人ではなかなか見極められないものです。ノルツの起業支援では、代表・原本自身が「辞める」も選択肢に含めて、あなたの本当にやりたいことを一緒に掘り下げます。無理に起業へ押し込むことはしません。続けるにせよ、方向を変えるにせよ、あなたが自分の人生に納得できる判断にたどり着けるよう伴走します。まずは気軽にご相談ください。
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