この記事の要点
フリーランス・一人起業の時給を2,000円のような安値で計算すると、経費や請求できない時間を差し引いた実質の手取りが少なすぎて事業が続きません。最低でも時給5,000円〜1万円を基準に置き、そこから「実際に請求できる時間の割合」を考慮した実質時給で見積もるのが現実的です。目標の手取り収入から必要売上を割り出し、稼働可能時間で割り戻せば、自分の最低時給が具体的に決まります。
フリーランスや一人起業では、自分の時給をいくらに設定すればいいのか、最初の壁にぶつかります。私(原本)自身も、独立したばかりの頃は相場も基準もわからず、なんとなく安い金額で見積もりを出してしまいそうになったことがあります。この記事では、なぜ時給を安く見積もると事業が詰むのか、そして自分の最低時給をどう逆算すればいいのかを、実際に使ってきた考え方のまま解説します。数字を盛るつもりはありません。
時給2,000円の計算では、なぜ事業が続かないのか?
時給2,000円のような安値で自分の単価を計算すると、経費や請求できない時間を差し引いた時点で、生活していくための手取りがほとんど残らなくなるからです。私自身の実感としても、「時給2,000円ぐらいでとかやっちゃうと、すぐ事業って詰んでしまいますので、最低でも時給5,000円から1万円ぐらい」で計算したほうがいいというのが結論です。
会社員の時給感覚をそのまま持ち込むと、この安値に陥りがちです。会社員であれば、社会保険や設備、営業活動にかかるコストは会社が負担してくれます。しかし一人起業では、そのすべてを自分の単価でまかなわなければなりません。同じ「時給2,000円」でも、会社員とフリーランスとでは中身がまったく違う、という前提をまず持つ必要があります。
「請求できない時間」を考えると、実質時給はどれくらい下がるのか?
フリーランスの1日は、お客様への提案書づくりや見積もり、移動、事務作業など、直接お金にならない時間が必ず含まれます。表向きの時給をそのまま単価にしてしまうと、実際に手元へ残る「実質時給」は、見た目の数字よりかなり低くなります。
たとえば1日8時間働いたとしても、実際にお客様へ請求できる作業時間がそのうち5時間程度にとどまることは珍しくありません。営業連絡、資料準備、経理処理といった「請求できない時間」が残りの3時間を占めるためです。この場合、見た目の時給を2,000円に設定してしまうと、実質的に稼げているのは1日10,000円(2,000円×5時間)にしかならず、そこから経費や税金の積み立てを引けば、生活費にすら届かないという状況が起こります。
| 設定した時給 | 1日の請求可能時間(目安) | 1日の売上 |
|---|---|---|
| 2,000円 | 5時間 | 10,000円 |
| 5,000円 | 5時間 | 25,000円 |
| 10,000円 | 5時間 | 50,000円 |
見積もりを作るときは「1日8時間働けるから、時給×8時間」で考えるのではなく、「実際に請求できる時間は何時間か」を先に見積もっておくことが欠かせません。ここを甘く見積もると、稼働しているのに手元にお金が残らない、という事態に陥ります。
自分の最低時給はどうやって逆算すればいいか?
自分の最低時給は、「欲しい手取り収入」から必要な売上を割り出し、それを実際に稼働できる時間で割り戻すことで決められます。値段そのものから考えるのではなく、生活に必要な金額から逆算するのが現実的です。手順は次のとおりです。
- 毎月の目標手取り額を決める。生活費に加え、貯蓄や急な支出への備えも含めた金額を置きます。
- 税金・社会保険料・経費分を上乗せする。手取りとして残したい額に対して、実際に必要な売上はその1.3〜1.5倍程度になるのが一般的です。
- 1ヶ月に稼働できる日数・時間を見積もる。営業や事務に使う時間を差し引いた、実際に「請求できる時間」だけを数えます。
- 必要売上を請求可能時間で割る。これが自分の最低時給の目安になります。
この手順を踏むと、「なんとなく2,000円」ではなく、自分の生活と稼働実態に基づいた具体的な数字が出てきます。計算の結果が時給5,000円を下回るようであれば、稼働時間を増やすのではなく、単価そのものを見直す必要がある、というサインです。
逆算の例(仮の数字)
目標手取り:月30万円
税金・社会保険・経費を上乗せした必要売上:月30万円×1.4=約42万円
1ヶ月の請求可能時間:1日5時間×稼働20日=100時間
最低時給:42万円÷100時間=約4,200円
この場合、最低でも時給5,000円前後を目安に置き直す、という判断になります。
時給5,000円〜1万円は高すぎないか?
結論として、一人起業の最低ラインとしては高すぎません。会社員の時給と単純比較すると高く感じますが、そこにはフリーランスが自分で負担する経費・社会保険・請求できない時間のすべてが含まれているからです。「時給2,000円ぐらいでとかやっちゃうと、すぐ事業って詰んでしまいます」という実感は、まさにこの負担を織り込み忘れたときに起きます。
不安なときほど「相場より安くすれば選ばれやすいはず」と考えがちですが、安売りは長続きしません。稼働時間のすべてが売上にならない以上、時給5,000円〜1万円は「贅沢な水準」ではなく「事業を続けるための最低条件」だと捉えたほうが現実的です。値段を下げて仕事を取るより、この最低ラインを守ったうえで、価値の伝え方や提案の仕方を磨くほうが、長く事業を続けられます。
見積もり金額を時給換算で検算するには?
案件ごとの見積もり金額が妥当かどうかは、「見積もり金額 ÷ 想定作業時間」で時給換算し、自分の最低時給と比べることで検算できます。金額の大小だけで判断すると、作業量の多い案件を安請けしてしまう失敗が起きやすいためです。
たとえば10万円の案件でも、想定作業時間が5時間なら時給換算2万円になりますが、想定作業時間が40時間かかるなら時給換算2,500円まで下がります。同じ10万円の見積もりでも、中身はまったく違う仕事だということが、時給換算をすると見えてきます。契約前にこの検算を一度はさむだけで、「受けてから気づく」失敗をかなり防げます。
見積もり検算の式
見積もり金額 ÷ 想定作業時間 = 実質時給
この実質時給が、自分で決めた最低時給(5,000円〜1万円が目安)を下回っていないかを、契約前に必ず確認します。
あなたの最低時給を一緒に計算します
目標の手取り収入や稼働できる時間は、人によって大きく違います。ノルツの起業支援では、代表・原本自身が使ってきた考え方をもとに、あなたの生活費・稼働時間・経費から、無理なく続けられる時給と見積もりの基準を一緒に整理します。まずは気軽にご相談ください。
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