この記事の要点
独立後に伸びる経営者の学ぶ姿勢とは、「聞く耳を持つ」ことと「取捨選択する」ことの両立です。聞く耳を持たない経営者は続かない一方、もらったアドバイスをすべてそのまま実行するのも違います。助言は自分の頭で噛み砕き、腑に落ちてから実行する。「受け入れない」という判断も立派な選択です。この両輪が独立後の成長につながります。
独立して経営者になると、まわりからいろいろなアドバイスをもらうようになります。先輩起業家、コンサルタント、交流会で出会った人——みんな、よかれと思って助言をくれます。では、その助言をどう受け取ればいいのか。私は独立してからずっと、この問いと向き合ってきました。たどり着いたのは、「聞く耳は持つ。でも、全部はそのまま受け取らない」という姿勢です。一見矛盾するこの2つを両立させることが、独立後に伸びる経営者の学び方だと考えています。
なぜ、聞く耳を持たない経営者は続かないのか?
まず、はっきりさせておきたいことがあります。学ぶ姿勢、成長しようとする姿勢は、独立起業した人にとっての「最低条件」だということです。これは特別なことではなく、当たり前の出発点です。私の実感として、聞く耳をまったく持たないタイプの経営者は、どうしても続かない。自分のやり方に固執し、人の話を一切受け付けないままだと、変化に対応できず、いつか行き詰まってしまいます。
独立すると、上司もいなければ、間違いを指摘してくれる同僚もいません。だからこそ、外からの声に耳を傾ける姿勢が、会社員時代以上に重要になります。学ぶことをやめた経営者は伸びない。これは、独立後にいろいろな経営者を見てきて、強く感じることです。
アドバイスは全部そのまま実行すべきなのか?
ところが、ここに落とし穴があります。「聞く耳が大事」だからといって、もらったアドバイスをすべてそのまま実行すればいい、というわけではないのです。むしろ私は、ここで一度立ち止まることが大事だと思っています。なぜなら、自分自身の経験として、はっきり言えることがあるからです。
私の実体験
正直に言うと、私は他人からアドバイスされて、それをそのまま実行してうまくいったことが、今のところ一度もありません。助言そのものが間違っていたわけではなく、自分で噛み砕かないまま動いたことが原因だと思っています。だからこそ「全部受け取る」のではなく「自分で考えて取捨選択する」必要があると、身をもって学びました。
聞く耳を持つことと、言われた通りに動くことは、まったく別物です。前者は学ぶ姿勢であり、後者はむしろ思考を止める行為になりかねません。両極端——「一切聞かない」と「全部そのままやる」——のどちらも、独立した経営者にとっては危ういのです。
もらった助言は、どう実行に移せばいいのか?
では、具体的にどう向き合えばいいのか。私が実践しているのは、人から言われた内容を、そのまま実行に移すのではなく、いったん自分の中で噛み砕くことです。「なぜこの人はそう言うのか」「自分の状況に当てはめるとどうなるか」を自分の頭で考え、本当に腑に落ちて、はじめて実行する。腑に落ちないなら、無理に動かない。この一手間が、結果を大きく左右します。
大切なのは、受け入れる・受け入れないの判断を、自分の頭で下すことです。アドバイスをくれた相手への礼儀として「やってみます」と言うことはあっても、最終的に動かすかどうかは自分で決める。そうやって、もらった助言を「自分のもの」に変換していく。借り物の正解をなぞるのではなく、自分の判断として選び取る。これが、独立した経営者の基本姿勢だと思っています。
アドバイスを「受け入れない」のは、ダメなことなのか?
ここで強調しておきたいのが、「このアドバイスは受け入れない」という選択肢も、まったくアリだということです。これは、聞く耳を持たないこととは違います。きちんと聞いたうえで、自分で考えて「今回は採らない」と判断する。これは思考停止ではなく、むしろ能動的な思考の結果です。
すべての助言を受け入れようとすると、人の数だけ違う方向に引っ張られ、軸がぶれてしまいます。だからこそ、取捨選択が必要になる。良い助言かどうかを、自分の事業の文脈に照らして見極め、採るものは採り、採らないものは採らない。「受け入れない」と決められることもまた、学ぶ姿勢の一部なのです。
良い助言かどうかを、どう見極めるか?
「取捨選択が大事」と言っても、実際にどう選べばいいのか、と思うかもしれません。私が手がかりにしているのは、いくつかの問いです。まず、「その助言は、誰の成功体験から来ているのか」。アドバイスをくれる人の多くは、自分がうまくいったやり方を語ります。けれど、その人の事業と自分の事業は、規模も顧客も時期も違う。同じやり方が、自分の状況でそのまま通用するとは限りません。だから、助言の中身そのものより、「自分の状況に当てはめたらどうなるか」を考えるようにしています。
もうひとつの問いは、「実行したあと、自分が納得して続けられるか」です。腑に落ちないまま始めたことは、たいてい途中で続かなくなります。逆に、自分で考えて「これは確かにそうだ」と思えたことは、多少しんどくても続けられる。続けられるかどうかは、その助言が本当に自分のものになっているかのバロメーターです。中身の正しさだけでなく、自分が腹落ちして動けるか——そこまで含めて見極めると、取捨選択の精度が上がっていきます。
なぜ独立した経営者には「自分の頭で考える」ことが核心なのか?
突き詰めると、ここには独立そのものの意味が関わっています。もし、人の指示に従って言われた通りに仕事をするだけなら、わざわざ独立した意味があまりありません。それなら、組織の中にいたほうが安定しています。独立したということは、最終的な判断を自分で引き受けるということ。だからこそ、アドバイスの取捨選択も含めて、自分の頭で考えることが核心になります。
学ぶ姿勢を持つことと、自分の頭で考えることは、矛盾しません。むしろセットです。たくさん聞いて、たくさん吸収する。そのうえで、何を採り、何を捨てるかを自分で決める。この両輪が回っている経営者が、独立後にしっかり伸びていく——そう感じています。
「この助言、どう扱えばいい?」を一緒に整理します
ノルツの起業支援では、あなたが受け取ったアドバイスを一緒に噛み砕き、「自分の事業に採り入れるべきか」を整理するお手伝いをします。情報や助言が多すぎて軸がぶれそうなときは、壁打ち相手としてお気軽にご相談ください。
まとめ:聞いて、噛み砕いて、自分で決める
独立後に伸びる経営者の学ぶ姿勢とは、「聞く耳を持つ」ことと「取捨選択する」ことの両立です。聞く耳を持たない経営者は続かない。けれど、すべての助言をそのまま実行するのも違う。もらったアドバイスは、自分の頭で噛み砕き、腑に落ちてから実行する。「受け入れない」という判断も、自分で下せばそれは立派な選択です。学ぶことと、自分の頭で考えること。この両輪を回し続けることが、独立した経営者としての成長につながります。
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