経営者が自分の体験だけで発信するとネタ切れする理由

自分語りに頼らず、ヒアリングで一次情報を増やして発信を続ける

この記事は、ノルツ株式会社代表・原本が、起業支援のSEOサイトを自分の体験ネタで運営しようとして、想像より早くネタが尽きた経験をもとに書いています。なぜ自分の体験だけでは続かないのか、そして発信を止めずに済んだ「ヒアリング」という切り替えを、実際に何をしたのかまで具体的にお伝えします。

この記事の要点

自分の体験だけを材料に発信を続けようとすると、想像よりずっと早くネタが尽きます。私自身、起業してからのストーリーは半日か1日は話せると思っていましたが、実際にリストアップして書き出したら、すぐに底をつきました。答えは「自分語りをやめる」ことではなく、「他者からヒアリングして一次情報を増やす」ことです。人の体験は聞き出せばいくらでも出てくる。発信が続かない経営者ほど、自分の話ではなく、聞く技術に投資したほうが早く安定します。

ブログやSNS、オウンドメディアで発信を始めた経営者の多くが、最初の数本を出したあたりで手が止まります。私(ノルツ株式会社代表・原本)も同じでした。起業支援のSEOサイトを、自分の体験をネタにして記事化していく——そういう運営方法で始めたのですが、「自分の体験なんて半日は語れるだろう」という見込みは、あっさり外れました。この記事では、なぜ自分の体験だけでは続かないのか、そして私がどう切り替えて発信を止めずに済んだのかを、実際にやったことに沿ってお話しします。

夜のデスクで一人パソコンに向かい発信する記事のネタと向き合う日本人経営者の写真

経営者が自分の体験だけで発信すると、なぜネタ切れするのか?

結論から言うと、自分一人が持っている体験の総量は、本人が思っているよりずっと少ないからです。発信を始める前は「起業してから今まで、いくらでも語れる」と感じます。ところが、いざ書き出す作業に入ると、話せる形になっているネタはごくわずかしかありません。

私の場合、起業支援のサイトを自分の体験ネタで運営する設計でした。自分が体験したことをどんどん出していき、それをAIで解析して記事化してもらい、コンテンツにする——このやり方です。始める前の見込みは、はっきりこうでした。

「起業してから今までのストーリーを話していけば、おそらく半日か1日ぐらい話せるんじゃないか」(ノルツ株式会社代表・原本)

ところが実際は違いました。体験をリストアップして、それをもとに話していこうとした瞬間に、想定は崩れます。

「実際に体験をリストアップして、それで話していこうとしたら、すぐにネタがつきました、正直なところ」(ノルツ株式会社代表・原本)

なぜこうなるのか。「頭の中で漠然と覚えている記憶」と「人に読ませる記事にできる体験」は、まったく別物だからです。前者は膨大にあるように感じますが、後者——具体的な場面・数字・そのとき何を考えたかまで語れるネタ——に絞ると、一気に数が減ります。だから「半日話せる」という感覚は、ほぼ必ず過大に見積もられます。これは能力や経験量の問題ではなく、自分一人を情報源にすることの構造的な限界です。

発信のネタが尽きると、事業にはどんな影響が出るのか?

更新が止まり、集客の仕組みそのものが機能しなくなります。SEOやオウンドメディアは、記事という資産が積み上がって初めて成果が出ます。ネタ切れで更新が止まるということは、その資産形成が止まるということです。

私も、ネタが尽きかけたとき、頭をよぎったのは事業そのものへの疑いでした。このやり方でサイトが更新できないなら、「このSEO対策のサービス自体が難しいのかもしれない」と一瞬考えたのです。発信のネタ切れは、単に「今週の記事が書けない」という話にとどまらず、そのビジネスモデルを続けられるのかという根本の不安に直結します。

特に一人で事業をしている経営者にとっては深刻です。外注ライターに丸投げできれば別ですが、一次情報(自分の体験)を核にしている発信は、本人が語れなくなった時点で止まります。だからこそ「ネタが尽きたら終わり」にならない供給源を、早い段階で用意しておく必要があります。

発信のネタ切れは、どうすれば防げるのか?

自分語りをやめて、他者からヒアリングして一次情報を集めることです。自分一人の体験は有限ですが、他人の体験は聞き出せばいくらでも出てきます。ここに気づけるかどうかで、発信が続くか止まるかが分かれます。

私がネタ切れに直面したとき、同時にもう一つ気づいたことがありました。自分の体験を自分で引き出すのは特殊な作業で難しいけれど、他者へのヒアリングであれば体験はたくさん引き出せる、という発見です。

「私自身がヒアリングをすれば、人の体験はたくさん引き出せるんだな」(ノルツ株式会社代表・原本)

私はもともと、クリエイティブ提供の仕事でヒアリング技術を長く培ってきました。お客様の体験や考えを引っ張り出し、整理し、人に話せる状態にする——この技術を、そのまま発信のネタ切れ問題に転用できると考えたのです。つまり、発信が止まりかけた壁は、自分の別のスキルを使うことで、むしろ供給を増やす糸口に変わりました。

発信の情報源を「自分」から「自分+他者」へ

自分の体験だけ → 有限。すぐ尽きる。
他者へのヒアリング → 聞くたびに増える。事実上、枯れない。
自分語りをやめるのではなく、聞き出した一次情報を主な燃料に切り替える。

一対一で真剣に相手の話を聞き出す二人の日本人、ヒアリングで体験を引き出す場面の写真

なぜ「自分語り」より「聞き出す」ほうがネタが集まるのか?

情報源の数が一人から無限に増えるからです。自分語りは、一人分の体験をどう切り出すかという勝負で、母数が最初から決まっています。一方ヒアリングは、話を聞く相手を変えるたびに、まったく新しい体験・失敗・気づきがそこに存在します。母数そのものが増えていくので、供給が枯れません。

もう一つ、質の面でも有利です。自分の体験は自分にとって当たり前になっていて、「何が読者にとって価値あるネタなのか」を自分では判断しにくくなります。他者の話は、聞き手の立場で「それは面白い」「そこを詳しく」と引き出せるため、記事にしたときの引きが強くなりやすい。自分では平凡に見えることでも、他人の口から語られると一次情報としての価値がはっきり見える、ということが起きます。

観点自分の体験だけで発信ヒアリングで一次情報を集める
情報源の数1人(自分)で固定聞く相手の数だけ増える
ネタの寿命すぐ尽きる実質的に枯れない
ネタの見極め当たり前化して判断しづらい聞き手として価値を見つけやすい
必要なスキル自分を掘る(特殊で難しい)聞き出す(習得・再現しやすい)

大事なのは、自分語りを完全にやめる必要はない、ということです。自分の一次情報も貴重な燃料の一つです。ただ、それを「主なエンジン」に据えると早晩止まる。だから主軸をヒアリングに移し、自分の体験はその中の一つとして混ぜる。この設計にすると、発信が止まりにくくなります。

ヒアリングで一次情報を引き出すには、具体的に何をすればいいのか?

「体験を、場面・数字・そのとき考えたことまで語れる状態にして引き出す」ことです。ただ話を聞くのではなく、記事の材料になる粒度まで具体化して聞き切るのがポイントです。私が実際にやっている進め方は、次の4ステップです。

  1. 相手の「失敗・想定外」から入る。うまくいった話より、思っていたのと違ったこと、しくじったことのほうが、具体的な場面と感情がセットで出てきます。読者が自分ごとにできるネタもここに多くあります。
  2. 抽象的な言葉を、必ず具体に降ろす。「大変だった」で止めず、「何が」「どのくらい」「そのとき何を考えたか」まで聞く。曖昧な言葉を具体的な場面と数字に置き換えることが、一次情報の価値を決めます。
  3. 相手が当たり前だと思っている部分を掘る。本人が「こんなの普通ですよ」と流すところに、外から見た一次情報が眠っています。聞き手が「そこ、もっと詳しく」と拾い上げます。
  4. 聞いた内容を、話せる・書ける形に整理して返す。引き出して終わりではなく、時系列や要点に整理して、記事の素材カードにする。ここまでやって初めて発信の燃料になります。

この4つは、特別な才能ではなく技術です。私の場合はクリエイティブの仕事で身につけましたが、意識して繰り返せば誰でも精度は上がります。「発信のネタがない」経営者の多くは、ネタがないのではなく、周りにある他者の一次情報を引き出せていないだけ、というのが私の実感です。

一人の経営者が発信を止めずに続ける仕組みは、どう作ればいいか?

「自分の体験」と「ヒアリングで集めた他者の一次情報」の二本立てにして、記事化の作業はできる限り仕組みに乗せることです。供給(ネタ)と加工(記事化)を分けて考えると、続けやすくなります。

私の運営では、供給側はヒアリングを主軸に置き、自分の体験も一つの情報源として混ぜています。加工側は、集めた一次情報をAIで解析して記事化する形にして、書く作業の負荷を下げています。こうすると、「今週書くことがない」で止まる状態から、「素材はあるので、あとは形にするだけ」という状態に変わります。発信が止まる原因の大半は書くのが面倒だからではなく、そもそも語れる素材が手元にないことなので、素材の供給を仕組みにすると効きます。

ポイントを整理すると、こうなります。発信が続かないと感じたら、まず疑うのは「自分のやる気」ではなく「情報源の設計」です。情報源が自分一人になっていないか。他者からヒアリングして一次情報を増やす動線があるか。そして、集めた素材を記事にする作業を、毎回ゼロから気合いでやっていないか。この三点を仕組みにできれば、発信は個人の頑張りに依存しなくなります。

発信の設計から、一緒に整理できます

発信が続かないのは、多くの場合やる気ではなく「情報源の設計」の問題です。ノルツの起業支援では、一人社長として実際にオウンドメディアを運営している立場から、何を発信の軸にするか、どう一次情報を集めて記事化の仕組みに乗せるかまで、事業の戦略とあわせて伴走します。まずは気軽にご相談ください。

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