この記事の要点
起業して仕事が入ってくると、「受けるべきか、断るべきか」で迷います。そのとき断る基準を1本にしようとすると、いつまでも決まりません。おすすめは、その仕事が自分にとって「ライフワーク(本当にやりたいこと)」か「ライスワーク(食べるための仕事)」かを先に決めて、基準を2つに分けることです。ライフワークは、相手が志を持っているかどうかで選ぶ——お金を稼ぎたいだけの相手は断ります。ライスワークは、稼げるかどうかで選ぶ——お金にならないものは断ります。そして値切りが強い相手や「無料でやってよ」と言ってくる相手は、ライスワークとして100%断ります。基準が違うものを1本の物差しで測るから迷う、というのがこの記事の結論です。
「起業したら、どんな仕事を断ればいいのか」——これは、独立して最初の数本の仕事が入り始めた人が必ずぶつかる問いです。断りすぎれば売上が立たず、受けすぎれば時間とエネルギーがすり減っていきます。この記事では、ノルツ株式会社代表・原本が、実際に自分の仕事で使っている「断る基準」を正直にお伝えします。結論を先に言えば、断る基準は1つではなく2つです。仕事を「ライフワーク」と「ライスワーク」に分け、それぞれに別の物差しを当てる——これが、迷いを減らすいちばんの近道でした。
起業したら、どんな仕事を断るべきか?
結論から言うと、「その仕事が自分にとってライフワークか、ライスワークか」を先に決めてから、断るかどうかを判断します。多くの人が迷うのは、すべての仕事を1つの物差し(たとえば「稼げるか」だけ、あるいは「やりたいか」だけ)で測ろうとするからです。1本の基準で測ろうとすると、「稼げるけどやりたくない仕事」や「やりたいけど稼げない仕事」が来たときに、判断がフリーズします。
代表・原本は、この2種類を最初に切り分けます。自分が本当に成し遂げたいことに向かう仕事(ライフワーク)と、生活のために稼ぐ仕事(ライスワーク)は、そもそも目的が違います。目的が違えば、良し悪しを測る基準も違って当然です。だから「断る基準は1つ」と考えるのをやめて、「この仕事はどちらの箱に入るか」を先に決める。箱が決まれば、当てるべき基準も自動的に決まります。
そもそもライフワークとライスワークはどう違うのか?
ライフワークは「自分が本当にやりたいこと・成し遂げたいこと」、ライスワークは「ご飯を食べるために行う、稼ぐための仕事」です。この2つは似た響きですが、目的がまったく逆を向いています。ライフワークは自分の志のためにやる仕事、ライスワークは生活を支えるためにやる仕事です。
起業すると、この2つが混ざったまま日々の依頼がやってきます。理想を言えば「ライフワークで稼げる」のが一番いいのですが、現実にはそうならない仕事も抱えることになります。だからこそ、来た仕事を「これはどちらなのか」でまず仕分ける必要があります。両者の違いを整理すると、次のようになります。
| 観点 | ライフワーク | ライスワーク |
|---|---|---|
| 目的 | 本当にやりたいこと・成し遂げたいことを実現する | ご飯を食べる=生活のために稼ぐ |
| 断る/受ける基準 | 相手が志を持っているか(志で決める) | 稼げるかどうか(お金で決める) |
| 断る相手の例 | お金を稼ぎたいだけで志のない相手 | 稼げない仕事/値切り・無料依頼の相手 |
| 受ける姿勢 | 志が合えば積極的に向かっていく | 基本はお受けする(生活のため) |
この表のポイントは、「断る」という同じ行為でも、ライフワークとライスワークで理由がまったく違うということです。ライフワークで断るのは「志が合わないから」、ライスワークで断るのは「稼げないから」。この2つを混同すると、「志は合うけど稼げない仕事」を前にして動けなくなります。次から、それぞれの箱でどう判断するのかを個別に見ていきます。
ライフワークの仕事は、何を基準に断るのか?
ライフワークの仕事は、「相手が志を持っているかどうか」を基準に断るか受けるかを決めます。ライフワークは自分の志を実現するための仕事なので、組む相手の向いている方向がずれていると、そもそも成り立たないからです。だから料金の多寡よりも先に、相手がどんな人物なのかを見ます。
代表・原本は、この判断について次のように語っています。「私は相手が志を持っているかどうか、どんなことを成し遂げたい人なのか、どういう思いで動いているのか、志を基準に全部決めています」。逆に、志がなく「金を稼ぎたいだけ」の相手は受けません。原本の言葉では「金を稼ぎたいだけの人は断っちゃいます」。ここで見ているのは、相手が儲かるかどうかではなく、相手が何を成し遂げたい人で、どんな思いで動いているか、という一点です。志の方向が同じか近い相手とだけ、ライフワークとして組む。これが、ライフワーク側の断る基準です。
ライスワークの仕事は、何を基準に断るのか?
ライスワークの仕事は、「稼げるかどうか」を基準に断るか受けるかを決めます。ライスワークは生活のために稼ぐことが目的なので、判断軸はシンプルにお金になるかどうかです。ライフワークとは逆に、志よりも先に「これは食べていくための売上になるか」を見ます。
ライスワークは基本的にはお受けします。生きていくため・お金を稼ぐための仕事だからです。ただし、その目的から外れるもの——つまり稼げない仕事——は断ります。原本の言葉では「お金を稼げないものに関してはお断りしますよね」。ライフワークなら「志があれば稼げなくても組む」余地がありますが、ライスワークにその余地はありません。稼ぐための箱に入れた以上、稼げないなら受ける理由がない。この割り切りが、ライスワーク側の断る基準です。
値切りや「無料でやってよ」と言う相手は、受けるべきか?
ライスワークとして来た仕事で、値切りが強い相手や「無料でやってよ」と頼んでくる相手は、100%断ります。ライスワークの目的は稼ぐことなのに、値切りや無料依頼はその目的を真っ向から否定するからです。ここは迷う必要がなく、はっきり線を引ける数少ない基準です。
代表・原本の言葉を引くと、「値切りが強い人、値切りをすごくされる場合とか、無料でこれやってよって頼んでくるような人は、100%お断りしてしまいます」。理由は明確で、ライスワークは生活を支える売上のための仕事だからです。値切りが強い相手を受けると、単価が下がるだけでなく、その後も要望が増えてリソースが削られていきやすい。「稼ぐための仕事」という前提が崩れる相手は、ライスワークの箱では受けない。これは感情ではなく、目的から逆算した機械的な線引きです。
ノルツの起業支援について
ノルツの起業支援では、「どの仕事を受けて、どれを断るか」といった、起業初期に必ずぶつかる判断の壁打ちをしています。ライフワークとライスワークの切り分け、志で組む相手の見極め、値決めや安請けの線引きなど、一人では決めきれないことを一緒に整理します。「断っていいのか不安」「基準が持てない」という段階でも大丈夫です。まずはお気軽にご相談ください。
ライフワークで稼げるのが理想なのに、なぜライスワークを抱えるのか?
「ライフワークで稼げる」のが本当は一番いいのですが、現実にはそうならない仕事も抱えることになるからです。起業したての時期は、志に完全に合致した仕事だけで生活費をまかなえるとは限りません。だから、志は必ずしも一致しなくても、生活を支えるためのライスワークをある程度は持つことになります。
ここで大事なのは、ライスワークを「志に反する妥協」と後ろめたく感じないことです。ライスワークは生活の土台を支える役割があり、その土台があるからこそライフワークに向かって動けます。目的が「稼ぐこと」だと最初から割り切っているので、志で測って落ち込む必要はありません。ライフワークとライスワークを分けておく最大の効能は、この「同じ物差しで測らないことによる迷いの減少」にあります。理想(ライフワークで稼ぐ)に近づけていく努力はしつつ、現実(ライスワークで食べる)を後ろめたく思わずに回す。この二層構造が、起業初期を続けるための現実的な設計です。
仕事を断る基準を作る手順は?
仕事を断る基準は、次の手順で当てはめると迷いにくくなります。来た仕事を「どちらの箱か」で先に仕分け、その箱の基準だけで判断する、という順番です。
- その仕事がライフワークかライスワークかを先に決める。自分の志を実現する仕事なのか、生活のために稼ぐ仕事なのかを最初に仕分ける。
- ライフワークなら、相手の志を見る。相手が何を成し遂げたい人で、どんな思いで動いているか。志の方向が合えば組み、「金を稼ぎたいだけ」の相手は断る。
- ライスワークなら、稼げるかを見る。生活を支える売上になるなら受け、お金にならないものは断る。
- ライスワークで値切り・無料依頼が来たら、100%断る。稼ぐという目的を否定する相手は、例外なく受けない。
この手順のキモは、1番目の「箱を先に決める」ことです。箱さえ決まれば、2番目以降の基準は自動的に決まり、判断がぶれません。逆に、箱を決めずに「受けるか断るか」だけを考えると、志と稼ぎが頭の中で混ざって迷います。断る基準に悩んでいる人ほど、まず仕分けから始めるのがおすすめです。
まとめ:断る基準を1本にしないことが、迷いを減らす
起業してから「どの仕事を断るか」で迷うのは、多くの場合、すべての仕事を1本の基準で測ろうとしているからです。おすすめは、その仕事が自分にとってライフワーク(本当にやりたいこと)かライスワーク(食べるための稼ぐ仕事)かを先に決めて、基準を2つに分けること。ライフワークは相手が志を持っているかで選び、志のない「金を稼ぎたいだけ」の相手は断る。ライスワークは稼げるかで選び、お金にならないものは断る。そして値切りが強い相手や「無料でやってよ」と言う相手は、ライスワークとして100%断る。これが、代表・原本が実際に使っている断る基準です。断る基準が持てず苦しいときは、基準を一本化しようとするのをやめて、「この仕事はどちらの箱か」を先に決めてみてください。箱が決まれば、当てる物差しも、断る理由も、自然と定まります。
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