「自分の話ばかりする人」に気をつける理由

起業で出会う相手を見極める、シンプルだけど効く判断軸

この記事は、ノルツ株式会社代表・原本が、起業後にさまざまな人と出会う中で身につけた「相手の見極め方」をもとに書いています。完全には見抜けないという前提に立ちつつ、それでも役に立つ判断軸を、実体験を交えてお伝えします。

この記事の要点

「自分の話ばかりする人」に気をつけるべき理由は、それが「他人への感謝がない」ことの表れで、相手を自分の目的を叶える手段として見ている可能性があるからです。相手は完全には見抜けない前提に立ち、①数字・ファクトで見る、②自分の話ばかりする人に注意する、という軸を持ち、補助金・融資・投資などお金が絡む儲け話では警戒心を最大に上げるのが現実的な見極め方です。

起業すると、それまでの会社員時代には出会わなかったような、いろいろな人が近づいてきます。応援してくれる人、一緒に何かをやろうと言ってくれる人。その多くは善意です。でも残念ながら、中にはこちらを利用しよう、あるいは騙そうとする人が混じっていることもあります。この記事では、そうした相手をどう見極めるか、私(代表・原本)自身の実体験をもとにお話しします。

最初に正直に言っておくと、私自身も見分け方が完全に分かっているわけではありません。これからも騙されることはあるだろう、と本気で思っています。それでも、多少の見極めの軸は経験から掴めてきました。今日はその中でも特に効くと感じている「自分の話ばかりする人に注意する」という視点を中心にお伝えします。

交流会で名刺交換をする日本人ビジネスパーソンの手元

相手を完全に見抜くことはできるのか?—「見抜けない」と認めるのが大前提

見極めの話をするうえで、最初に押さえておきたい前提があります。それは「相手を完全には見抜けない」と認めることです。口がうまく、こちらを早く信用させて何かをさせようとする人は、本当に巧みです。だから「自分は絶対に騙されない」と思っている人ほど、かえって危ういと私は感じます。

完全に見抜けないと認めたうえで、それでも被害の確率を下げるために判断軸を持つ。この現実的なスタンスが出発点になります。私が使っている軸は大きく二つ。一つは「数字・ファクトで見る」こと、もう一つが今回の主題である「自分の話ばかりする人に注意する」ことです。

判断軸①:なぜ数字・ファクトで見ることが重要なのか?

一つ目の軸は、相手の話を「数字・ファクトベース」で受け止めることです。口のうまい人ほど、耳ざわりのいい言葉で期待を膨らませてきます。そこで感情に流されず、必ず数字に立ち返る。たとえば、提示された資料の数字が「仮説上の数字」なのか「契約上の確定した数字」なのか。同じ数字でも、その意味はまったく違います。細かいところまで読み込む癖をつけるだけで、見えるものが変わります。

「まず必ずファクトベースで見る…数字で見るというのは非常に重要になります」

ここで言う「数字」は、資料の中の数値だけではありません。相手が自分にどれだけお金を払ってくれたか、何回会ってくれたか、どれだけの時間を使ってくれたか――そうした行動も立派な数字です。言葉ではなく行動の数字を見ると、相手が本当にこちらを大事にしているのかが、かなり正確に見えてきます。

「言葉」より「数字」を見る

資料の数字:それは仮説の数字か、契約上の確定した数字か。
行動の数字:いくら払ってくれたか/何回会ったか/どれだけ時間を割いてくれたか。
耳ざわりのいい言葉ではなく、行動として表れた数字で相手を測る。

電卓と書類を前に数字とファクトを確認する経理作業の様子

判断軸②:なぜ「自分の話ばかりする人」に気をつけるべきなのか?

そして、今回いちばん伝えたいのがこの二つ目の軸です。私は「自分の話ばかりする人」には注意するようにしています。会話の主語がいつも自分で、自分の実績・自分の凄さ・自分の儲け話ばかり。こちらの話にはあまり関心を示さない。そういう人には、少し警戒心を持って接するようにしています。

「自分のことばかりしゃべる人…いわゆる他人への感謝がないという意味合い」

なぜ自分の話ばかりする人が危ういのか。私の解釈では、それは「他人への感謝がない」ことの表れだからです。自分のことしか見ていない人は、目の前の相手を「一人の人間」ではなく「自分の目的を叶えるための手段」として見ていることがあります。もちろん、話好きなだけの善良な人もいますから、これで100%見抜けるわけではありません。それでも、自分本位な人は、こちらを利用しようとしてくる可能性が相対的に高い、というのが経験から得た実感です。

逆に言えば、こちらの話にきちんと耳を傾け、他人への感謝を口にできる人は、信頼できる確率が高い。相手の「話す・聞く」のバランスと、感謝の有無。この二点を意識して見るだけで、付き合う相手の見え方はずいぶん変わります。

あわせて意識しておきたいのが、こちらを「早く信用させよう」「早く決めさせよう」と急がせてくる人です。口がうまく、短い時間でこちらを信用させて何かをさせようとする人ほど、判断の隙を突いてきます。私の経験では、口が達者で早く動かそうとしてくる相手ほど、いったん数字で見直すと違和感が見えてくることが多い。だからこそ、急かされたと感じたときほど、一度立ち止まって判断軸①の数字・ファクトに立ち返る。焦らされている状況そのものが、警戒すべきサインだと考えています。

どんな話のときに特に警戒すべきか?—お金が直接絡む儲け話

もう一つ、経験上はっきり言えるのは、お金が直接絡む業種の話は警戒心を一段引き上げた方がいい、ということです。具体的には、補助金・助成金・融資・投資。この辺りの「お金が絡む儲け話」は、残念ながら騙す人がやりやすい領域でもあります。仕組みが複雑で、素人には正しさを判断しづらいからです。

「補助金、助成金、融資、投資、この辺の話というのは結構、騙す人がやりやすい業種」

こうしたお金の話が出てきたときは、いつも以上に立ち止まってください。相手が自分の話ばかりしていないか、提示された数字は仮説か確定か、行動の数字は伴っているか。「数字・ファクトで見る」「自分の話ばかりする人に注意する」という二つの軸を、ここでこそ丁寧に当てはめます。

「警戒心をちょっとマックスに上げて、お話を聞いたりするのもいい」

「うまい話には裏がある」とはよく言いますが、起業初期は特に、判断材料も人脈も少ないぶん、そうした話に足元をすくわれやすい時期です。警戒心をマックスに上げて聞く――このひと手間が、後々の大きな損失を防いでくれます。

相手の見極めは、どんな姿勢で臨めばいいのか?—性善説でも性悪説でもなく

ここまで注意点ばかりお話ししましたが、私は「誰も信用するな」と言いたいわけではありません。むしろ、起業では良い仲間との出会いが何より大切です。大事なのは、性善説でも性悪説でもなく、「完全には見抜けない前提で、数字とファクト、そして相手の態度という判断軸を持って接する」という現実的な姿勢です。

すべての人を疑ってかかれば、良い出会いも逃してしまいます。かといって無防備でいれば、利用されてしまう。だからこそ、軸を持つ。数字で確かめ、自分の話ばかりする人には少し距離を取り、お金が絡む話では警戒心を上げる。この三つを習慣にしておけば、大きく踏み外す確率はぐっと下がります。私自身、今もこの軸に助けられています。

そして繰り返しになりますが、これらの軸を持っていても「完全には見抜けない」という前提は変わりません。私自身、これからも騙されることはあるだろうと本気で思っています。それでも、判断軸があるのとないのとでは、危ない話に足を踏み入れる確率がまるで違う。見極めは一発で正解を出す技術ではなく、少しずつ確率を下げていく積み重ねです。もし一度うまくいかなかったとしても、そこで得た「数字の見方」「相手の態度の見方」は、次の判断を必ず助けてくれます。だから、怖がって人と会わなくなるのではなく、軸を携えて出会いを続けることをおすすめします。

「この相手、大丈夫かな」を一緒に整理します

起業初期は判断材料が少なく、相手の見極めに迷う場面が多いものです。ノルツの起業支援では、目の前の話を数字とファクトで一緒に整理し、進むべきか見送るべきかの判断を伴走します。一人で抱え込む前に、まずは気軽にご相談ください。

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