この記事の要点
AIで業務自動化をサービス化するとき、最初にぶつかった壁は営業や価格ではなく「AI側の利用制限」でした。Claudeのスケジュール機能で業務が回る仕組みを作りサービス化しようとしたところ、トークンの消費が想定より大きく、扱う企業数を増やすと5時間ごとの利用量制限にかかることが分かりました。何件かテストしたことで同時に対応できるお客様の数の上限が見え、現在は制限にかからないやり方へ改善中です。
公開日 2026-09-05 執筆:原本 昌悟(ノルツ株式会社 代表取締役)
AIで業務自動化をサービス化したら、実際に何が起きたのか?
ノルツ株式会社代表・原本は、AIで業務を自動化し、その自動化した業務自体をサービスとして販売する新規事業を1つスタートしました。ところが顧客数を増やす前提で進めた段階で、トークンの消費が想定より大きく、Claudeの5時間ごとの利用量制限にかかることが判明しました。仕組みとしては動くのに、事業としては人数を増やせないという状態です。
具体的に取り組んだのは、Claude(クロード)のスケジュール機能を使って、決まった業務が自動で回るように設定し、その仕組みをそのままサービスとして提供するというモデルです。人が手を動かす前提の代行業ではなく、設定済みの自動化そのものを商品にする発想でした。
仕組み自体は動きました。問題が出たのは「お客様の数を増やしたらどうなるか」を確かめたときです。
「意外とですね、トークンの消費が大きくて、クロードって5時間ごとに利用量の制限があるんですけれども、これ企業数を増やしてしまうと、この5時間の制限にどうしてもかかってしまうなということに気がつきました。」(ノルツ株式会社代表・原本)
ここでの学びは、AIを使ったサービスは「動くかどうか」と「事業として複数のお客様に提供できるかどうか」が別の問題だということでした。原本の場合、顧客数を増やす想定でテストして初めて壁が見えました。
なぜ一人社長は「自分のリソースを使わないビジネス」を考えるのか?
一人で独立すると、サービス提供・営業・経理財務処理といった業務すべてに自分のリソースが割かれます。そのため、自分の時間を大きく割かなくても提供できるビジネスモデルが望ましく、その選択肢の一つとしてAIによる業務効率化・自動化が増えてきた、というのが原本の考え方です。
ノルツ株式会社代表・原本は、一人社長の事業は「リソースとの戦いになる」と表現しています。売上が伸びても、自分の稼働時間がボトルネックになれば、そこで成長が止まります。
そこで考えたのが、自分のリソースをあまり割かなくても提供できるモデルです。原本が例として挙げているのは次の3つです。
| モデル | 原本が挙げた説明 |
|---|---|
| 営業代行 | つなぐだけ |
| 採用代行 | 紹介するだけ |
| AIによる業務効率化・自動化 | 選択肢として最近増えてきた |
※この表は、原本が「自分のリソースをあまり割かないビジネスの例」として挙げた3つを並べたものです。各モデルの収益性・難易度・制約を評価したものではありません。
このうち原本が実際に着手したのが3つめで、AIで自動化した業務そのものをサービスとして販売するという発想でした。人手のボトルネックを外そうとしたら、AI側のトークン消費と利用制限という別のボトルネックが現れた、という順番になりました。
Claudeの利用制限とトークン消費は、サービス設計のどこに影響するのか?
Claudeには5時間ごとに利用量の制限があります。原本のケースでは、処理するテキスト量(トークン消費)が想定より大きく、扱う企業数を増やすとこの制限にかかることが分かりました。処理量や利用するプランによって結果は異なりますが、原本の事業では「同時に何社まで対応できるか」が提供可能数に直結しました。
振り返ると、業務を設計していた時点で、顧客数が増えたときのトークン消費量や利用制限までは想定しきれていなかったのだと考えています。当時その原因をはっきり分析していたわけではなく、あくまで後から振り返っての推測です。
原本が実際に体験したのは、次の一点です。
- 提供可能な顧客数の上限が、技術側の制約で決まりうる:営業が取れたとしても、利用量の枠を超える件数を受ければ提供が滞る可能性がある(枠を超えて受けた場合にどうなるかは、原本が実際に試したわけではない想定です)。
一方で、次の観点は原本がすでに体験・検証した内容ではなく、今後の設計で検討しうる論点として整理しているものです。
- 自動実行のタイミングを分散させる設計にできるか(未検証)
- 1件あたりの処理を軽くして消費量を抑えられるか(未検証)
- 上限を前提にした単価・件数の設計にできるか(未検証)
なお本記事では、トークンの実測消費量、テストの具体的な件数、同時に対応できる社数といった数値は公開していません。原本が手元で確認した範囲にとどまり、処理の重さや設計によって大きく変わる数値のため、参考値として一般化できないと考えているからです。
また、AIサービスの利用量・制限やプランの仕様は提供事業者の判断で変更されます。制限の内容は、利用するプランや、APIかアプリ(Claude.ai)かによっても異なります。ここで触れている「5時間ごとの利用量制限」は、原本がClaude.ai(アプリ)側のプランを使った際に体験した内容で、本記事執筆時点(2026年9月)に公式ヘルプで確認した範囲のものです。導入を検討する際は必ず提供元の公式情報で最新の条件を確認してください。
お客様にテストをお願いすると、何が分かるのか?
原本は「テストをさせてください」とお客様にお願いし、何件かテストを実施しました。その結果、トークンの消費量と、同時に対応できるお客様の数の上限という、机上では見えなかった制約が具体的に見えてきました。テストが問題の早期発見につながった、というのが率直な実感です。
実際にやったのは、完成品を売る前に「試させてください」と伝えてしまうという、とてもシンプルな進め方です。
「テストをさせてくださいとお願いをして、何件かテストをしたからこそ、このトークンの消費量とかね、上限の同時に対応できるお客様の数とかそういうのが見えてきたという問題がありますので、テストすることは本当に大事だなというふうに思っております。」(ノルツ株式会社代表・原本)
テストを通じて見えてきたのは、次のような情報でした。
- トークンの消費が、想定よりも大きいということ
- 同時に対応できるお客様の数の上限がどのあたりにあるか、という感覚
- お客様が実際にどんな反応をするのか、という定性的な情報
原本は、発想と検証の両方が必要だとも話しています。
「こういう方法でやればいいんじゃないかという発想をするのがすごい大事です。それで実際にテストをしてみて、お客様の反応というんですかね、どういうような反応をされるのかとか、すごい大事だなというふうに思っています。」(ノルツ株式会社代表・原本)
アイデアだけでは制約は見えず、テストだけでは方向が決まりません。原本の場合は、発想と検証を並行させたことで、致命傷になる前に制約に気づけました。
「お客様が増えても回るのか」という問いは、いつ立てればよかったのか?
理想は、実行する前の設計段階で「スケールしても成り立つのか」を問うことです。原本は今回、テストの中で制限に気づきましたが、本来はテストと同時に、あるいはその前に問いを立てておくべきだったと振り返っています。この問いを毎回立てるようにするのが現実的な対策だと考えています。
ノルツ株式会社代表・原本は、この点を次のように語っています。
「結局事業を一人社長で事業をやるとき、リソースとの戦いになります。なので、この事業がスケールした場合にちゃんと回るのか、っていうところをね、あの問いを毎回立てるようにするといいんじゃないかなというふうに思っております。」(ノルツ株式会社代表・原本)
この問いをAI活用サービスに落とすと、原本が今後確認したいと考えているのは次のような項目です。
- 1件あたりの処理量(トークン消費)はどれくらいか
- 同時に何件まで動かすと、利用制限の枠に触れるか
- 処理を時間帯で分散できる設計になっているか
- 顧客数が増えたとき、コストと制限はどう変わるか
- 制限にかかったとき、お客様への影響をどう伝えるか
大事なのは、これを「売れてから考える」にしないことだと感じています。原本の場合はテスト段階で気づけたため、現在は設計を見直しているところです(進行中)。
利用制限にぶつかった今、どう改善しているのか?
現在は、5時間ごとの利用制限にかからないやり方への改善を進めています。事業を止めるのではなく、制約を前提にした設計へ組み替えるという進め方です。まだ進行中の取り組みであり、最終的な結果はここでは断定できません。
原本が着手した新規事業は1つ。その1つを「制限にかかるからやめる」ではなく「制限の中で成り立つ形にする」方向で作り直しています。
制約を前提に組み替えるときに考えられる観点(筆者の考え)
以下は、効果を検証し終えた改善策ではなく、原本が今後の設計で検討しうる観点として整理したものです。実際に採用・検証した結果ではありません。
- 処理を同じ時間帯に集中させず、実行タイミングを分ける
- 1件あたりのやりとりを軽くし、トークン消費を抑える
- 同時に受けられる件数を、事業計画の側でも上限として扱う
この段階で言えるのは、完璧な設計を先に作ろうとするより、テストして修正する前提で動いたほうが早く現実に届く、ということです。原本の場合、テストをお願いしたからこそ制約の輪郭が見え、次に何を考えればよいかが分かりました。
ノルツの起業支援では、こうした「やってみたら想定外だった」局面を毎月一緒に整理しながら進める月額顧問型の伴走を行っています(月額3万円〜が目安)。相談はLINEまたはお問い合わせフォームから受け付けています。
AI業務自動化をサービス化する前に、最低限確認しておくことは?
確認したいのは「動くか」ではなく「複数のお客様に同時提供できるか」です。原本の体験からは、1件あたりの処理量と同時提供の上限を先に確認しておく価値があると感じています。加えて、AI側の仕様や制限はプラン・利用形態で異なり変更もされるため、公式情報での確認が前提になります。
原本が実際に体験したこと
- 「テストをさせてください」とお客様に伝え、何件かテストを実施した
- そのテストを通じて、トークンの消費量と、同時に対応できるお客様の数の上限が見えてきた
- 顧客数を増やすとClaudeの5時間ごとの利用量制限にかかることに気づき、現在は制限にかからないやり方へ改善中である
着手前に確認したい項目(原本の体験を踏まえた検討事項)
以下は上記の体験から筆者が導いた検討事項で、原本がこの手順どおりに実施・検証した記録ではありません。
- 1件あたりの処理量を測る:デモ用のデータではなく、実際の業務データで動かして消費量を把握できる形にしておく。
- 同時提供の上限を仮決めする:「何社までなら無理なく提供できるか」を仮の上限として置き、営業や受注の判断と揃えておく。
- お客様にテストを依頼する:完成前に「テストをさせてください」と伝え、反応と制約を同時に集める(原本が実際に行った進め方)。
- 実行タイミングの分散を検討する:自動実行が同じ時間帯に集中しない設計にできるか考える。
- 料金と制約を突き合わせる:上限の中で成立する単価・件数か確認する。
- 公式情報を確認する:利用量の制限やプラン条件は変更され、APIかアプリ(Claude.ai)かでも異なるため、導入時点の公式情報を必ず参照する。
AIツールの利用制限・料金プラン・仕様は変わりうる情報です。本記事の内容は、執筆時点(2026年9月)で確認した範囲と原本の体験に基づくもので、実際に事業として組み込む際は提供元の公式情報や専門家に最新の条件を確認してください。
よくある質問
AIで業務自動化をサービス化するとき、最初に確認すべきことは何ですか?
「1件あたりの処理量(トークン消費)」と「同時に何件まで提供できるか」だと考えています。ノルツ株式会社代表・原本は、Claudeのスケジュール機能で自動化した業務をサービス化しようとした際、顧客数を増やすとトークン消費が大きく、5時間ごとの利用量制限にかかることに気づきました。動作確認だけでなく、複数顧客への同時提供を前提に検証することが重要だと感じています。
Claudeの利用制限は、サービス提供の何に影響しますか?
提供できるお客様の数に影響しうる、というのが原本の実感です。Claudeには5時間ごとに利用量の制限があり、原本のケースでは処理量が想定より大きかったため、扱う企業数を増やすと制限にかかることが分かりました。処理量や利用するプラン、APIかアプリ(Claude.ai)かによって結果は異なります。利用量の条件は変更されるため、本記事執筆時点(2026年9月)で確認した内容として捉え、公式情報で最新条件をご確認ください。
完成前にお客様へテストを依頼しても大丈夫でしょうか?
原本の場合は「テストをさせてください」と正直に伝えてお願いし、何件かテストを実施しました。その結果、トークンの消費量と同時に対応できるお客様の数の上限が見え、いまは設計を見直しています(進行中)。テストであることを明示し、期待値を過剰に持たせないことが前提になります。
記事にトークンの消費量やテスト件数の数値が書かれていないのはなぜですか?
原本が手元で確認した範囲の値であり、処理の重さや設計、利用するプランによって大きく変わるため、参考値として一般化できないと考えているからです。そのため本記事では、トークンの実測消費量・テスト件数・同時対応可能な社数といった具体的な数値は公開せず、「消費量が想定より大きかった」「上限が見えてきた」という体験の範囲で記述しています。
利用制限にぶつかったら、その事業はやめるべきですか?
原本は、着手した新規事業1つを止めるのではなく、5時間ごとの利用制限にかからないやり方へ改善する方向で進めています(進行中)。処理タイミングの分散、1件あたりの処理を軽くする、同時受注数を上限として管理する、といった調整が検討の軸になり得ると考えていますが、まだ検証途中です。これは一つの事例であり、すべてのケースで同じ判断が最適とは限りません。
参考・出典
- Anthropic Help Center「About Claude Pro usage」(Claude.aiのプランごとの利用量に関する説明・英語)(2026年9月時点)
- Anthropic「Pricing」(プラン・料金の公式案内)(2026年9月時点)
ノルツの起業支援について
ノルツの起業支援では、代表・原本が自身の実体験をもとに、創業期の意思決定に月額顧問型で伴走します。「何から始めればいいか分からない」段階でも大丈夫です。まずはLINEからお気軽にご相談ください。
